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2002年3月、アメリカ機密機関は重大な発見をした。
それは、「9.11米同時多発テロ」の首謀者であるオサマ・ビン・ラディンがアフガニスタンの山岳地帯にある洞窟複合施設に潜伏していることを特定したのだ。
この情報を受けて、国防総省と空軍は、アルカイダとタリバンに対する新たな戦略として、BLU-118サーモバリック爆弾の緊急使用を決定した。
今回は、アフガニスタンの地下深くに潜む敵を一瞬にしてなぎ払った「サーモバリック爆弾」の仕組みと威力について解説していこう。
この記事に書かれている内容は
ズオン博士が開発した新爆薬!サーモバリック爆弾の秘密
サーモバリック爆弾の開発は、科学者グエット・アイン・ズオンの指揮のもと、通常の安全手順やテストを省略するという緊急性を伴う状況の中で行われた。
このサーモバリック爆弾は、その非常に強力な破壊力から、多くの専門家たちがその存在自体に疑問を呈していた。
しかし、中東地域の緊張が高まる中、アメリカ軍はこの新兵器に多大な期待を寄せていた。
彼らは、この爆弾が地下深くに潜む敵の洞窟複合施設を完全に破壊することを切望していたのだ。
この時点で、サーモバリック爆弾の開発と使用は、単なる軍事技術の進歩を超えた意味を持っていた。
それは、国家安全保障のために、通常の手順を犠牲にしながらも、迅速な行動を取ることの重要性を示していた。
このような緊急かつ重要な状況下での決断は、アメリカ軍の柔軟性と対応力の高さを物語っている。
2001年7月、アメリカの軍事史において重要なターニングポイントが訪れた。
トム・ウォード中佐が国防総省から北朝鮮の地下核施設を攻撃するための特別なトンネル攻撃兵器の開発を依頼されたのだ。
ウォード中佐には、洞窟内を攻撃して敵を追い出す能力を持つ兵器の開発経験はなかったが、彼は科学者や契約業者と協力して、サーモバリック爆弾の20基の弾頭を製作する計画を立てた。
このプロジェクトには約6700万ドルの費用が見込まれ、3年の時間が必要とされていた。
しかし、9.11テロ攻撃後、国防脅威削減局の目標が変更され、ウォードのサーモバリック兵器が急務となった。
彼はロッキード・マーチンが開発したBLU-109ケーシング貫通型を選択し、この2.5㎝厚のケーシングは、爆発前に1.8フィートのコンクリートを貫通できる能力を持ち、洞窟複合施設を標的にするのに最適であった。
アフガニスタン戦争宣言のわずか4日後、ウォードはペンタゴンに60日以内に爆弾を用意することを約束した。
鋼鉄と電子部品の組み立て計画はあったが、効果的な爆発物の選定には困難が伴った。
当時、目的に合った爆薬は存在せず、ウォードは化学化合物の試験に時間を割くことができなかった。
そこで彼が頼ったのは、アメリカを代表する爆発物科学者グエット・アイン・ズオンの専門知識だった。
サーモバリック効果 アルミニウム粉末がもたらす破壊力
1975年、ベトナム戦争から逃れてメリーランドに到着したズオン博士は、アメリカへの感謝の気持ちを胸に、国防総省との協力を誓った。
アフガニスタン戦争が始まった時、彼女はすでに海軍の爆発物プログラムマネージャーとして活躍していた。
42歳のズオン博士は、海軍、空軍、陸軍、海兵隊で使用されるほぼ12種類の高性能化合物を開発してきた。
トム・ウォード中佐との会合後、彼女は国防総省が求める強力な爆薬、PBXIH-135の開発に着手した。
この実験的な爆薬は、すでにいくつかのテストで大きな可能性を示していたが、完全な兵器にはまだ発展していなかった。
PBXIH-135は、標準的な軍事爆薬であるHMXとポリウレタンゴムの混合物で、その秘密はアルミニウム粉末の正確な添加にあった。
この兵器の仕組みは、まるで映画のワンシーンのようだが、現実に存在する。
では、この兵器は一体どのようなものなのか?
サーモバリック兵器は、アルミニウム粉末などの混合燃料を使い、周囲の空気と混ざり合わせる。
この混合物がエアロゾル、つまり「霧」として拡散される。
突然、この霧が第2次爆発により点火される瞬間、この時、爆発は炭鉱の粉塵爆発と同じ原理で、強烈な衝撃波を生み出す。
この「サーモバリック効果」と呼ばれる現象は、文字通りに理解すると、熱と圧力の共鳴効果と言えるだろう。
では、この兵器がもたらす影響について考えてみよう。
まず、その爆発は凄まじい高熱と衝撃波を伴い、人間を直接的に殺傷する。
しかしこの兵器の恐ろしさはそれだけではない。
爆発の範囲外にいる人々にも、酸素が奪われ窒息させる効果がある。
また、気圧の急激な変化によって、内臓が圧迫される可能性もある。
つまり、この兵器は、その範囲内にいる人々に対して、容赦なく大量殺戮を行う設計になっているのだ。
インディアンヘッドのチームは、標準的な安全チェックや追加テストを行う余裕がなく、600ガロン以上のPBXIH-135を製造し、爆弾に鋳造した。
このBLU-118/Bサーモバリック爆弾の開発物語は、単なる技術革新を超えた意義を持つ。
ズオン博士の専門知識とウォードの指導力の組み合わせは、緊急事態における迅速かつ効果的な対応の模範となった。
しかし、このような強力な兵器の開発は倫理的な問題も引き起こし、科学と技術の進歩がもたらす利益とリスクのバランスを常に考慮する必要がある。2002年11月中旬、インディアンヘッドの科学チームは、他のプロジェクトを一時的に中断し、サーモバリック爆弾の製造に全力を注いでいた。
彼らは複数の成分を慎重に混合し、準備された空の爆弾ケースに充填していたが、最初の2つの爆弾は製造過程で失敗に終わった。
それでも、このチームは途方もないプレッシャーの中で作業を続け、ついに爆弾が完成し、ネバダ州のテストサイトに送られた。
12月14日、サーモバリック爆弾の初の公式テストが行われた。
歴史的瞬間!サーモバリック兵器がアルカイダに使用
情報筋によれば、アルカイダの創設者オサマ・ビン・ラディンはトラボラ地域の地下施設に隠れていたとされていた。
2002年3月2日、歴史的な瞬間が訪れる。
2700mの高さから落下する爆弾を見守る中、ズオン博士は制御室から目標の分析を行っていた。
アフガニスタンのガルデス地域で、アルカイダとタリバンの戦闘員が隠れていたとされる洞窟に対し、アメリカ空軍は910kgのサーモバリック爆弾を使用した。
ハスキン大尉によると、任務中の成功確率は常に五分五分だった。
しかし、この作戦は予期せぬ誤算により計画通りに進まなかった。
原因は爆弾の投下が遅れたこと。
この遅れが致命的となり、爆弾は設計された飛行モードから逸脱。
結果として、目標を外れてしまったのだ。
しかし、数日後に出た結果は、サーモバリック兵器が成功したという明確な結論だった。
しかし、この技術的な成功は国際社会からの激しい反発を引き起こした。
ペンタゴンは、サーモバリック爆弾の批判者たちが主張するほどの致命的な武器ではなく、国際条約に違反していないことを明らかにするプレスリリースを発表する必要に迫られた。
このサーモバリック爆弾の開発と試験の過程は、軍事技術の進歩とそれに伴う倫理的なジレンマを浮き彫りにした。
この出来事は、戦争における精密兵器の使用が常に成功するとは限らないことを示している。
さらに、驚くべきことに、米軍はこの強力な兵器を更に小型化し、兵士一人一人が携行できるようにする計画だ。
兵士の銃に装填!小型化されるサーモバリック兵器
具体的には、次世代ライフル銃「XM29」で使用可能な形へと改良する。
このXM29は、約84センチメートルの長さを持ち、2種類の弾薬を発射できる。
一つは標準的な弾丸、もう一つはプログラム可能で空中で爆発する手榴弾のような弾だ。
この技術の革新的な部分は、各弾薬にコンピューターチップが埋め込まれており、兵士が弾の爆発する時間と場所を精密にプログラムできる点にある。
想像してみよう。
敵が45メートル先の塀の陰に潜んでいる場合、兵士は距離を45.5メートルに設定し、敵兵の頭上で弾を炸裂させることが可能になる。
これは、戦場での戦術に革命をもたらす可能性がある。
しかし、ここで一つの重要な問いを投げかけてみたい。
このような高度に発展した兵器技術が、戦争の本質をどのように変えるだろうか?
また、その使用は、どのような倫理的な問題を引き起こす可能性があるのだろうか?
技術の進歩は、しばしば軍事戦略と戦術を大きく変える。
しかし、それと同時に、新たな倫理的な論点や戦争の概念に関する議論を引き起こす。
私たちは、このような兵器の使用とその影響について、深く考える必要があるのだ。
次の動画では、世界の衝撃的な兵器ベスト5について解説していこう。
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