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ウクライナ軍は5月9日にドローンを使用し、ロシアの兵士に対して降伏を促すメッセージを送った結果、1人が降伏したと公表した。
フェドレンコ氏によれば、「我々の攻撃ドローン小隊がロシアの兵士を発見し、彼からは爆撃の停止を頼まれた。私達のチームは、ドローンを使い、彼に降伏し、ドローンの後を追うような命令を記した紙片を落とした。
彼はそれに同意した。後方から自軍の銃撃を浴びつつもだ」と述べた。
このロシアの兵士は、最終的にウクライナ軍の陣地まで到達したという。
フェドレンコ氏は「ロシア軍に仕えるよりも、ウクライナに捕らえられる方が生存の可能性が高い」と述べた。
今回は、ウクライナが使用した2つの軍事ドローンの成果と、3つの弱点のほか、ドローンを開発する製造会社について解説していこう。
ドローンから撮影されたロシア兵の動画も見てね!
ウクライナのドローン軍が操る無人航空機システム
ドローンの大きな導入目的は、兵士を直接現地に向かわせることなく、偵察、監視、攻撃ができる無人兵器という側面にある。
戦闘機や戦闘用ヘリコプターよりも小型で小回りの利くドローンであれば、レーダーなどの監視網に対しても比較的有効であろう。
無人航空機システムである「leleka(レレカ)100」を導入したウクライナのドローン軍。
このシステムはGPSを使用せずに過酷な条件で操作を実行できる利便性にある。
また、耐風性にも秀でており、最大風速で20m/sの状況でも使用できる性能も有している。
そういった特性などを活かしながら、ウクライナ軍のドローンがロシア軍戦車に突撃し爆破するなどの戦果もあり、半年で175億円規模の被害を与えたと報じられた。
ドローンと聞くと空からの行動を想像するが、ドローンの技術はすでに水上にまで及んでおり、水上自爆ドローンとしての活用も見られている。
先に紹介した被害には、この水上ドローンでの対艦攻撃も含んでいると見られ、時代の進化を示したとも言えるだろう。
また、ウクライナ軍が開発した「R18」というドローンからの爆弾投下により数百億円の被害をロシアに与えたとも言われている。
このR18は、10キロメートルに及ぶ飛行が可能であり、約5キロの爆弾を搭載可能である。
上空100~300メートルの高度を保ち、40分程度の静寂を保った飛行が可能である特性もあるため、ウクライナではひとつの有力な攻撃手法として活用されている。
このようにウクライナ軍が活用するドローン軍は、ロシア軍の軍事施設や戦車などを相当数破壊する実績を誇り、かなりの脅威となっている。
また、夜間攻撃に利用できるサーマルカメラを搭載しているため、ロシア軍の夜襲に対しての防衛効果も発揮している。
攻守に渡って存在価値を発揮したドローン軍、各国も注目している。
ドローンが革新する新たな脅威と現代戦争
ドローンは戦闘用の他の飛行体と比べると非常にコンパクトである。
ミサイル、戦闘機など大掛かりな戦闘用の飛行体は燃料の消費、レーダーでのリスク、価格的な負担もあるため、安価に活用できるドローン軍には大きなコストメリットがあるのは事実だ。
小型であるがゆえに手軽に操作できるので専門パイロットの育成に極端に時間と費用をかけることもない。
手軽に偵察を可能にした結果、敵の場所を容易に特定してハイマースで攻撃するという「小さく生んで大きく育てる」ような攻撃も実際に行われている。
ハイマースの射程距離は150キロ程度であるため、小規模で小回りの利く偵察部隊が高い機動力を有してドローンで敵を発見し、即座にハイマースを投下する遠隔攻撃もできる利点もある。
大抵のドローンは2.4GHzの周波数であり、電波妨害で対応できる可能性もあるが、ウクライナに提供されたラトビアのアトラス社のドローンはGPS機能を搭載せず電波を出さないものであるため、場所の正確性という問題はあるが相手に探知されることなく偵察、敵発見が可能である強力なメリットを有している。
電波妨害による干渉を受けないこのドローンは、仮に、その土地に対して正確な地形情報や位置情報を有している操縦者であればGPSがなくとも、正確な把握が可能であり、特定の地域においては強力な戦力になると見られている。
また横移動が前提となる飛行兵器では攻撃が限られている塹壕に対しても、ドローンであれば真上から爆弾などで攻撃を展開できるメリットがあるため、一度の攻撃での殺傷率も容易に高めることが可能となってくる。
ドローンの性能と使い方のかけ合わせで、広がりを見せる戦闘パターンが今後の戦争における脅威になる日も近い。
では、一体このような高性能な軍事ドローンはどこが何の目的で開発しているのだろうか?
軍事用ドローンを開発する製造会社
無人兵器が戦闘の主力をとなりつつある現在、無人機に対する注目は飛躍的に上昇しているといってもよいだろう。
そのなかで、アメリカのエアロバイロンメント社は注目株の筆頭といってもよいだろう。
元々は有人飛行機を製造していた会社であるため、元々の飛行機製造技術は問題ない。
そのうえで、無人飛行機へと軸を移している同社にとって性能の高い飛行機を無人機に、という明確な方向性シフトが功を奏したのである。
そして、同社の特徴としては、民間利用には目もくれず、「軍事用無人飛行機」に絞って展開したことにある。
その結果、豊富なバリエーションも魅力のひとつである。
JUMP(ジャンプ)-20は飛行機の上にドローンのプロペラが4つ乗ったような形状で、垂直離陸が可能であるうえ、185キロの距離までは通信可能である。
RAVEN(レイヴン)は兵士のリュックサックに入るほどの小型で、簡易的に組み立てて使用するタイプで、リリース時に高く放り投げることで離陸し、現場での使用に特化した利便性がある。
重量1.9キロで、約90分間の飛行が可能、10キロ圏内なら通信もできるため、戦地での様々な用途が期待できる。
無人飛行機に爆弾を搭載してそのまま標的に当てるものなどもあり、多種多様な戦闘にフィットした無人飛行機を製造している、それがエアロバイロンメント社だ。
こうした動きの背景には、多様な戦闘ニーズに対応すべく、同社は積極的な吸収合併も展開してきたことがあげられる。
2021年度の中では3社の吸収合併が見られ、先に紹介した無人飛行機も各社の特性を生かしたものになっている。
今後のAI技術の進展やその他の技術の進展によって、同社がどのような開発を見せるのかにも注目したいところだ。
このように、非常に高性能な軍事ドローンであるが、一方で弱点も指摘されている。
高性能軍事ドローンと3つの弱点について
今後の戦争の主役となっていくと予測される軍事ドローンであるが弱点はあるのだろうか?
現時点では、電波によっては稼働に影響を受けるという点があげられるだろう。
電波妨害により、システムのほとんどが稼働不能になってしまうことは大きな課題である。
とくに現状のドローンは、その多くが2.4GHzというWi-Fiと同じ電波帯を利用しているため、極端な話をすると同じ電波帯を使用している機器の電波により一時的に機能麻痺のような状態に陥ることもある。
この点においては、一部の製造企業が多少の改善を見せているが、その前段階の課題もある。
それが、操縦士の育成や操作性という観点である。
戦闘機やヘリコプターのように難易度の高いものではないが、だからといって一切の訓練や技術習得なしに利用できるものでもない。
操縦士とともにその指導者不足という部分も直近では一つの課題となっている。
パソコンやその他の電子機器が大きく需要を拡大した点としては、直感的に多くの人間が使用できるという操作性によるところは大きい。
軍事用ドローンや一般利用のドローンも同様で操作性、ユーザビリティに対する課題も決して少なくはない。
そして、実際の利用においては、ほぼゼロにすることのできない大きな問題もある。
それは、どの戦闘兵器にも共通する課題であるが、民間人や民間施設への誤爆である。
これはいかに操作性を高めても、安全装置のような仕組みを開発してもゼロにはならない。
実際にアメリカの攻撃型ドローンでは、アフガン戦争やカブールで誤爆により民間人が被害を受けている。
使用する場所や使用者の意識、倫理と合わせて十分に注意すべき観点である。
いかなる兵器も同様に、どのような状況で用いるのか、戦争の目的は何なのか、民間人や民間施設、自然環境や動植物、海洋環境や海洋生物などへの配慮などは、戦闘という行為自体に必ずついて回る問題である。
次の動画では、ウクライナが使用した「神風ドローン」と呼ばれる自爆型ドローンについて解説しよう。
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