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海上自衛隊の最新鋭潜水艦が続々と建造されている。
現在、作戦用潜水艦は22隻が配備されており、最新型のたいげい型においては、2番艦のはくげい(白鯨)、3番艦のじんげい(迅鯨)が進水している。
海上自衛隊の主力潜水艦は、おやしお型、そうりゅう型、たいげい型と受け継がれている。
最新のたいげい型については、前級の「そうりゅう型」から外観の変化はほとんどみられないが、艦内は大幅な性能向上が図られている。
今回は、前半と後半の2回にわたって、世界でもトップクラスの性能を誇る海上自衛隊の最新鋭潜水艦たいげい型の秘密について解説していこう。
この内容は動画でも見れるよ!
「たいげい型」に装備された2つの潜望鏡とテクノロジー
「たいげい型」のスペックはこのようになっている。
基準排水量 約3,000トン
全長 84.0m
最大幅 9.1m
エンジン 川崎ディーゼル機関
出力6,000馬力
速力約20ノット(約37km)
兵装 533mm長魚雷発射管×6
ハープーン対艦ミサイル
全長は84mで通常動力型潜水艦としては、世界でも大きい部類に入る。
そうりゅう型よりは排水量が100トンほど増えているほか、たいげい型潜水艦の乗員数は70名で、そのうち女性乗組員は6名で航海中は基本3交代制でシフトを組んでいる。
実任務で女性自衛官を乗せるのは「たいげい型」が自衛隊初となる。
ところで、潜水艦と聞くと、誰もが思い浮かべるのが潜望鏡ではないだろうか。
通常、潜水艦には2つの潜望鏡が装備されている。
その使い分けは「捜索用」と「襲撃用」である。
またこの2本は「昼間」と「夜間」によって使いわけることもある。
一般的に潜望鏡といえば、レンズ越しに海上の様子を見る光学式であるが、そうりゅう型からは2本のうち1本が非貫通式潜望鏡となっている。
非貫通式潜望鏡とは、レンズの代わりにデジタルカメラが先端に装備された伸縮式マストになっており、撮影された映像が潜水艦の発令所に設置されたモニターに写し出される仕組みである。
(従来の潜望鏡)
従来までの光学式潜望鏡はセイルから発令所までを1本の筒が貫通していたが、そうりゅう型から導入された新しい潜望鏡は、撮影した映像が配線を通して伝わるため、潜望鏡自体が船体を貫通しておらず「非貫通式潜望鏡」と呼ばれている。
この潜望鏡のメリットは、セイルから発令所までの貫通がなくなることで水圧に対して船体の強度が増すことや設計上の自由度が増えることである。
そして、もう1つは潜望鏡をのぞく乗員のレベルに左右されないということが挙げられる。
従来までの光学式の潜望鏡の場合、潜望鏡から外を確認できるのは1人だけであったため、乗員の技量によって敵艦艇や識別を間違う可能性があった。
しかし、非貫通式潜望鏡により撮影された映像は発令所のモニターに表示され複数人でそれを確認できることから、より精度の高い識別や判断が可能となる。
映像は録画されているので、撮影後はすぐに潜望鏡を下げ、後から確認することも可能である。
たいげい型においては、2本の潜望鏡はどちらも非貫通式が装備されている。
光学式よりも潜望鏡をあげている時間が短かいことから敵に見つかる確率も低くなるというメリットもある。
そして、潜望鏡が非貫通式になったことにより、潜水艦の中枢である発令所にも変化がみられるようになった。
たいげい型潜水艦の中枢部「発令所」の秘密
発令所とは、潜水艦の潜航や浮上などの操縦のほか、攻撃や作戦立案など任務を遂行するためのいわば潜水艦の中枢部である。
たいげい型は潜望鏡が2本とも非貫通式となったことから、発令所が広くなり、従来のような潜望鏡が船体の上下を突き抜ける、いかにも潜水艦という見た目ではなくなっている。
全体にわたり、コンソールと呼ばれるコンピューターが並んでおり、これらを使用することで敵艦艇を探知したり魚雷を発射したりすることができる。
たいげい型からは、潜水艦の潜航浮上をコントロールするバラストタンクの注排水もコンソールから行えるようになった。
つまり1つのコンソールに音響分析装置、魚雷発射装置、レーダー、敵電波探知、 バラストタンクのコントロールがまとめられており、 多彩な機能を有している。
このコンソールが発令所内に「コの字型」に配置され、 必要に応じて最適な場所からコントロールできるのが「たいげい型」の特徴である。
被害や機器トラブルによりコンソールが使用不能になっても、ほかのコンソールに移動することで同じ機能を使うことができるのである。
そして、発令所の奥に設置されているのが電子海図である。
海図といえば、 船舶が目的地まで航海するためのコースを書いたり、 現在地を確認したりするための紙媒体のものを想像するが、 たいげい型では海図がデジタル表示される電子海図となっている。
マップだけでなく探知した敵艦艇の戦術情報なども重ねて表示でき、さらにその情報は艦内の他の場所にも共有できる仕組みになっている。
航海と戦闘情報を1つのマップに融合できるという点は、まるでハイテクのステルス戦闘機 F-35 のモニターのようである。
たいげい型のコンピューターはスマートフォンのようにソフトウェアのアップデートにより、今後も機能を向上することができることも特徴といえる。
では、敵艦艇を攻撃するための魚雷攻撃はどのようにして行われるのだろうか?
533㎜長魚雷の搭載方法と性能
たいげい型に搭載されている長魚雷は6発で、潜水艦が新しくなったからと言って、 装填数や発射の仕組みが大きく変わったわけではない。
長魚雷の搭載は入港時に船体上部に設けられた専用ハッチを開いて発射管室に送り込まれる。
たいげい型が搭載できる兵器は533mm 長魚雷のほかに、ハープーン対艦ミサイル、 機雷の3種類となっており、搭載する兵器の種類や数は従来の潜水艦と同じである。
ただし、 長魚雷については89式魚雷の他に新型の18式魚雷も搭載可能である。
18式魚雷の特徴は、敵の魚雷回避装置に対する能力の強化と探知範囲の向上、 そして起爆装置の新型化である。
つまり、敵艦艇をより遠距離から探知、追尾し確実に撃沈させる能力が向上しているといえる。
長魚雷の長さは約6mあり、重さは約1.7トンであることから、保管や装填のための大きなスペースを必要とするため、発射管室は艦内で唯一広い場所である。
そのスペースを利用して、 狭い艦内での運動不足を解消しようと乗員がここで筋トレなど体を動かすこともあるという。
魚雷発射管は、潜水艦を正面から見て上に2門、 下に4門という形で配置されており、おやしお型、 そうりゅう型、たいげい型と変化はない。
魚雷を装填する際は、 発射管まではラックに載せて移動させ、ハッチをあけて魚を押し込む仕組みである。
攻撃命令が出たならば、 通常は発令所から遠隔で発射するが、発射管室から直接発射することも可能だ。
発射時は水圧によって押し出され、水中に出てからはバッテリーによりスクリューを回転させ音を頼りに敵艦艇に向かっていく。
水中速力は低速モードで約39㎞、高速モードで約50㎞で敵艦艇を追尾する。
圧倒的な破壊力を持つ533mm長魚雷の炸薬量は267㎏で、1発で敵艦艇を撃沈するほどの威力をもっている。
魚雷の追尾の仕組みや破壊力については、他の動画で解説しているのでそちらをご覧いただきたい。
たいげい型は潜水艦として世界初となるリチウムイオン電池が搭載されており、潜行中の動力についてはバッテリーから得ることで、原子力潜水艦と比較すると非常に静粛性が高く、敵に探知される確率は低くなっている。
後半については、たいげい型の心臓部である機関と動力の仕組み、そして艦内の構造について解説しよう。
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