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世界最大の海上演習である「リムパック」は、米国海軍第3艦隊が中心となって、多国籍の海軍が太平洋を舞台に集結し、広大な海域で様々な戦術を訓練するイベントだ。
この演習は、2年ごとに米ハワイ沖で行われ、その規模と質から世界最大と称されている。
リムパックは、冷戦の真っ只中である1971年に、ソビエト連邦の太平洋進出を抑止する目的でスタートし、最初にはアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスの5カ国が参加した。
以降、参加国は年々増加している。
今回は、世界最大の軍事演習リムパックで行われる実際の実弾訓練や中国が行った不正行為について解説していこう。
この記事に書かれている内容は
26カ国が参加!史上最大の国際軍事演習リムパック
リムパックでは、米国第3艦隊が主導して、各国海軍と共同で艦隊を編成し、対空、対艦、対潜戦を想定したシナリオに基づいて訓練を行う。
史上最大となった2022年に開催されたリムパックでは、26ヶ国が参加し、38隻の艦船、4隻の潜水艦、170機以上の航空機、そして約25,000人の兵員が集結した大規模な国際軍事演習だった。
この年、日本からは護衛艦「いずも」と「たかなみ」、さらに哨戒機P-1が派遣され、「いずも」とP-1のリムパック初参加という新たな歴史が刻まれた。
海上自衛隊も1980年から参加を始めて以来、毎回出場していたが、2000年以降、参加艦艇数は減少傾向にある。
これは実任務の増加によるものだ。
現在、海自はグローバルな任務を担っており、特にソマリア沖・アデン湾では海賊対策として恒常的に護衛艦と哨戒機でパトロールを行っている。
さらに、親交のある国々との親善訓練の実施、北朝鮮の弾道ミサイル防衛、尖閣諸島周辺での中国海軍との対峙など、海自の役割は確実に多様化している。
これらの状況が、「リムパック」への参加数を減らす一因となっている。
また、ロシアが2012年に参加したことや、仮想敵とされていた中国海軍の参加が話題を集めた。
リムパックは、国際的な軍事演習の舞台であり、政治的なメッセージも伴うイベントである。
特に中国は2014年と2016年の2回、リムパックに参加しており、これはオバマ政権下での中国への融和策の一環と見なされていた。
中国海軍の招待には、アメリカ海軍上層部やペンタゴン、ホワイトハウス、連邦議会、シンクタンクなど、広範囲にわたる議論が交わされた。
この期間、米海軍は「中国に手の内を明かすような訓練は行えなかった」とされ、そのため演習の内容は災害対応などの非戦闘的なものに重点が置かれていた。
しかし、2018年のリムパックでは、米国防総省が中国海軍の招待を取り消すことを発表した。
この決断は、中国が南シナ海で行う人工島の軍事化および地域の不安定化が理由であった。
さらに、過去の参加時に中国が情報収集艦を密かに派遣し、各国の軍事情報を収集するなどの行動を取ったり、米軍施設での窃盗などが起きたため、その後の招待が停止されることとなった。
では、リムパックでは一体どのような演習が行われているのだろうか?
リムパックでの演習内容とは?ミサイル実弾発射から災害救助まで
リムパックでは、水陸両用作戦や砲撃、ミサイル発射、対潜水艦戦および防空演習のほか、機雷除去、爆発物処理、潜水と救助任務など多岐にわたる訓練が行われ、参加各国の軍事技術の向上と協力強化が図られている。
米空母「エイブラハム・リンカーン」が艦隊の中核を担い、艦長であるバウアーンシュミット大佐は、米海軍史上初の女性空母艦長としてその役割を果たした。
彼女はヘリコプターパイロット出身で、航空機の運用に深い知識を持つ必要がる空母艦長の職務を担っていた。
演習では、カウアイ島沖の「PMRF」と呼ばれるミサイル射場では、大砲やミサイルなどの実弾射撃訓練も実施される。
この地域は多くのセンサーで覆われており、ミサイルが標的に命中するまでの航跡や速度、命中の正確さを詳細に追跡することができる。
具体的には、陸上発射型のBQM-74E標的機を用いて、その迎撃テストが実施される。
災害救助訓練のシナリオでは、パールハーバー湾内に位置するフォード島を、架空の国「グリフォン国」が大地震に見舞われた場として想定。
日本とアメリカを含む複数国が協力し、負傷者を日米共同のヘリコプターで海上自衛隊の護衛艦まで搬送し、応急処置を施す練習が行われた。
これらの訓練は、リムパックが単なる軍事演習ではなく、多国間での協調作業や技術交換の場としても重要な役割を担っていることを示している。
中国の不参加となったリムパックでは新たな試みが行われる。
陸上自衛隊とアメリカ陸軍が共同で、最新鋭の陸上型ミサイル「12式地対艦誘導弾 (SSM)」を使用した訓練を実施した。
このミサイルは沿岸防衛を目的としており、地上から発射された後は低空で飛行し、射程は約200キロメートルに及ぶ。
ランチャーから最大6発が発射可能である。
この共同訓練の目的は、中国海軍に対する抑止力と対処能力を強化することにある。
陸上自衛隊が進める南西諸島の防衛体制強化では、12式地対艦ミサイルの重要性が際立っている。
このシステムは、特に中国海軍の活動が活発な鹿児島県の奄美大島や沖縄県の宮古島への配備が計画されており、地域の安全保障を固める狙いがある。
一方で、アメリカはこれまで沿岸防衛用の地対艦ミサイルの必要性を感じていなかった。
というのも、その軍事力と地理的な位置から、太平洋や大西洋での直接の脅威をそれほど警戒していなかったからだ。
しかし、最近になり米軍は地対艦ミサイルの運用に関心を持ち始めている。
その背景には、南シナ海を含むアジア太平洋地域での中国の軍事的野心が拡大していることが挙げられる。
防衛省の幹部も、地対艦ミサイルが対中国戦略で不可欠であるとの認識を示している。
また、自衛隊は中国海軍が参加しなかったことを受けて、12式ミサイルの威力を見せつける計画であったが、それが叶わなかったことを残念がっていた。
この事実は、地域の安全保障に対する日本の緊張感を如実に示していると言えるだろう。
リムパックで沈んだ19000トンの揚陸艦 実際の艦艇をターゲットに!
過去の演習では実際の艦艇を標的として使用したこともある。
退役した米艦艇が対象となり、オーストラリア、米国、韓国からの航空機や艦船が参加した演習が北部沖合の深海域で行われた。
燃料や兵器、その他の環境汚染物質を取り除いた状態でターゲットとされ、約12時間後に沈没した。
このようなリアルな訓練は、西太平洋地域での海軍力のバランスについての理解を深める上で不可欠である。
特に、米中だけではなく、海上自衛隊が参加することで米国が有利な立場を得ることができるとされており、海自はこの地域で最も重要なパートナーとされている。
過去のリムパックでは、海上自衛隊のイージス艦「あたご」が、退役した米軍の艦艇を標的に砲撃を加え、その撃沈に貢献した。
早朝から約9時間にわたってカウアイ島北西112キロの海域で実施された「Sinking Exercise」と呼ばれるものである。
この訓練には、米国、カナダ、オーストラリア、フランス、そして日本の合計8隻の艦艇が参加した。
特に注目されるのは、海上自衛隊から派遣されたイージスシステム搭載のミサイル護衛艦「あたご」と護衛艦「あけぼの」である。
訓練の流れとしては、まず米国、カナダ、オーストラリアの艦艇が対艦ミサイル「ハープーン」を発射し、続いてオーストラリアと米軍の哨戒機P3-Cも上空から対艦ミサイルを発射した。
これにより、退役した米海軍の艦艇は、海上および空からの攻撃で計7発のミサイルを受けた。
その後、米空軍のB52爆撃機がレーザー誘導爆弾GBU-12を投下し、この巨大な揚陸艦はさらなる損傷を被った。
最終的に、参加した8隻の艦艇が順次、主砲を使用して砲撃を加え、同艦艇は同日午後6時11分に撃沈された。
船底を見せつつ沈む19000トンの巨大な揚陸艦の姿が捉えられており、その光景は見る者に強烈な印象を与えた。
海上自衛隊がリムパックに参加してから40年以上が経ち、その間に多くの訓練内容や政府の対応が国会でも議論されてきた。
特に集団的自衛権の行使に関する議論は活発で、政府は演習が集団的自衛権の行使には当たらないと一貫して説明している。
野党からは、これが実際には強襲上陸作戦の支援ではないかとの批判もある。
これらの演習は、単なる軍事演習を超え、国際間の緊密な協力と信頼構築の場を提供しており、将来の安全保障環境にどのような影響を与えるのか、非常に興味深い議題である。
今年のリムパック2024では、イージス艦「はぐろ」が参加予定である。
次の動画では、世界も驚愕した日本の新兵器5選について解説しよう。
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