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「絶海の孤島」沖ノ鳥島。
日本の最も南に位置しており、東京からの距離は1,740km、船で片道4日を要する場所だ。
南北1.7km、東西4.5kmに広がるこの環礁は、ハワイの緯度とほぼ同じである。
米軍基地がある沖縄本島とグアム島の中間点に位置する沖ノ鳥島は、国際法上の「島」か「岩」かという問題が長年議論されている。
この地域の戦略的重要性は、西太平洋への影響力を拡大しようとする中国の動きによって、より一層明確になってきた。
中国は沖ノ鳥島を単なる「岩」とみなし、日本の排他的経済水域に対して異議を唱えている。
今回は沖の鳥島を日本が必死に守る理由と中国海軍の覇権行動について解説していこう。
絶海の孤島「沖の鳥島」を守る300億のプロジェクト
沖ノ鳥島は、その発見がスペインの帆船「サン・ファン号」によるものであるとされている。
1543年、この目立たない島に座礁しかけたという記録が残っている。
その後、日本政府は、世界各国の水路誌を調べ、どの国もこの島に領有権を主張していないことを確認した上で、沖ノ鳥島と命名した。
島の定義には大きさは関係なく、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時でも水面上にあるものを指す。
沖ノ鳥島は、サンゴなどの生物が積み重なってできた自然の地形である。
中国は沖ノ鳥島を岩礁と主張しており、岩礁として認定されれば、領土としての認識および排他的経済水域(EEZ)の設定が認められないという立場を取っている。
排他的経済水域(EEZ)は、沿岸国がその範囲内で天然資源の探査・開発や経済的活動に関する主権的権利を有する水域である。
日本の陸地面積は約38万平方キロメートルだが、EEZに囲まれた面積にすると世界で6番目に広い。
尖閣諸島の場合と異なり、中国は沖ノ鳥島の領土占有を目指しているわけではない。
しかし、沖ノ鳥島が日本領であることによって設定されたEEZが中国の航行の自由を制限していると主張している。
これは、西側諸国が南シナ海で行っている「航行の自由作戦」に対する対抗措置とされている。
この小島は、長年にわたる浸食や海面上昇などによって水没の危機に瀕している。
台風が通過する際には、高さ17メートルの荒波が島を襲い、満潮時には海抜70センチの2つの小島がわずかに残るのみで、これらも浸食の危機に晒されている。
日本政府はこの2つの小島の浸食を防ぐために約300億円を投じて護岸工事を行い、コンクリートの護岸で島を囲んでいる。
さらに、1997年には東小島にチタン製の防護網を設置している。
その維持には年間約2億円がかかっているといわれている。
沖ノ鳥島が浸食で消滅すれば、日本の排他的経済水域200海里も消滅してしまうため、日本政府は必死になってこの島を死守しようとしているのだ。
しかし、中国政府が突如として日本政府による沖ノ鳥島周辺の排他的経済水域設定に異議を唱えた。
西太平洋海域への中国の進出と沖ノ鳥島への覇権行動
中国は長年、沖ノ鳥島が国連海洋法条約に基づく「島」ではなく、単なる「岩礁」であると主張している。
中国メディアも、日本が他国の船舶の航行や調査を不当に妨害しているという内容の論説を展開している。
国連海洋法条約では、「島」の定義は以下の3つになっている。
①島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。
② 3項に定める場合を除くほか、島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。
③人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。
中国は、沖ノ鳥島の2つの小島が満潮時に水面に出ている面積が狭く、人間の居住や独自の経済的生活を維持できないとして、3項により「岩」に該当するものとして批判しており、沖ノ鳥島には排他的経済水域を有しないと主張している。
中国は1970年代から南シナ海、80年代から東シナ海への進出を進め、21世紀に入ってからは西太平洋にも進出している。
西太平洋の中心に位置する沖ノ鳥島周辺では、中国海軍の艦艇、特に空母「山東」が航行し、艦載機の発着訓練を繰り返している。
山東は、一日に最大37回もの艦載機の発着を行い、その飛行回数は米海軍原子力空母の1個飛行隊と同等の水準を保持している。
しかし、中国海軍はまだ空母での実戦経験がないため、オペレーションに関する戦術はアメリカ海軍に及ばないであろう。
中国が沖ノ鳥島を「岩」と位置付け、日本の排他的経済水域での海洋調査活動を行っていることは、地政学的な緊張を生む重要な事例だ。
中国の様々な組織に属する海洋調査船が協力し合い、海中にワイヤーを下ろして観測機器を投入する様子が確認されている。
これらの調査を通じて、中国は沖ノ鳥島近海の海底に豊富なレアメタルの存在を確信しているようだ。
海底には、電気自動車の製造に不可欠なコバルトや、「燃える氷」といわれる高濃度レアアースが眠っており、中国はこれらのまだ採掘されていない資源を日本に譲る意向はないとみられる。
実際に、世界のレアアース生産量の約90%を中国が占めている。
この独占状態は、中国による価格操作や供給量の不確実性といったリスクを生んでおり、国際社会にとって大きな問題となっている。
日本のEEZ内での無許可調査は沖ノ鳥島に留まらず、尖閣諸島や沖縄近海でも行われており、日本政府の停止要求に応じていない。
中国政府は、大陸棚延長の承認により日本が海底資源の開発権を得る可能性を懸念し、海底地形や地質データの収集を指示している。
また、2014年には小笠原諸島と伊豆諸島周辺の日本の領海およびEEZで、中国漁船による赤サンゴの密漁が発覚したが、その実態は海底の調査が主目的だったとされている。
中国の積極的な海洋調査活動は、日本の海洋資源に対する主権と経済的利益を脅かすものであり、日本政府としては対応が求められる状況である。
そのほかの理由として、中国の太平洋における野望は、その海軍力の拡張によって具体化している。
米太平洋軍の司令官が訪中した際、中国海軍の高官は「太平洋を分割し、ハワイより東をアメリカが、西を中国が管理する」という提案をしたとされている。
この戦略の一環として、空母・山東が沖ノ鳥島近海で軍事演習を行っている。
中国にとって、南北約1.7キロメートル、東西約4.5キロメートルの沖ノ鳥島を「岩礁」と呼び、埋め立てて要塞化することは技術的に困難ではない。
空母・山東の進出は、この野望の足がかりとなり得る可能性も否定できない。
日本側も、この動きに対して適切な対応を取らなければ、中国のペースに巻き込まれる恐れがある。
中国の行動を考える際、フィリピン沖の南沙諸島や西沙諸島での事例は重要な参考になる。
浅瀬を見つけて自国領土であると主張し、埋め立てを進めて人工島を造成し、軍艦が入る港や3000メートル級の滑走路を建設している。
このようにして既成事実化を進めているのだ。
中国は南沙諸島を埋め立てて自国の領土であると主張しているが、これらは人工島であり、領土として認められるものではない。
無断で建設されたこれらの構造物は、対空ミサイルの配備や滑走路の設置などを含み、侵略行為以外のなにものでもない。
沖ノ鳥島が資源だけではなく、グアム島と日本を結ぶライン上にあるなど、国防上も重要な拠点だということがある
中国の海軍力、特に空母の展開を通じて太平洋における影響力を拡大しようとしている中国の今後の動向に注意する必要がある。
次の動画では、中国海軍とアメリカ海軍の空母の実力について比較していこう。
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