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航空自衛隊の空中給油機であるKC-46ペガサスは最新鋭の民間機派生型軍用機である。
現在の空中給油機の中では最高水準を誇り、空自が4機保有しているKC-767と比較すると見た目はあまり変わらないものの、設計やシステムに違いがある。
また、4機の空中給油機では数が足りないことは明白であり、日本周辺空域で持続的な作戦を遂行するために、空自はKC-46Cを6機を調達する計画で、これまでに4機を発注済みである。
今回は、新型空中給油機【KC-46ペガサス】のスペックと、KC-767との違い、また、空中給油の方法について解説していこう。
空中給油を動画でも解説しているので、難しい操縦をぜひ見てね!
この記事に書かれている内容は
航空自衛隊「KC-46」とはどのような航空機か?
ボーイング製の空中給油・輸送機であるKC-46が、2021年を目処に日本の航空自衛隊に導入される。
KC-46は、アメリカ空軍にも受注されており、アメリカのワシントン州シアトルの近くでは、すでに初飛行が実施されている。
もともとは長距離貨物輸送機をベースにしているため、多くの貨物や傷病者を60名近く輸送することもでき、災害派遣でも活躍できる航空機だ。
操縦席と燃料タンクには防弾設計が施されて、被弾して燃料が誘爆しないように燃料タンクの収容スペースにも不活性ガスが充満されており、仮に被弾した場合でも爆発や着火を防ぐ仕組みになっている。
さらに、いかなる戦闘シーンでも任務を遂行できるように設計されていて、生物兵器や化学兵器、核ミサイルが使用されたシーンが想定されていたり、補助動力装置を用いて搭乗員の搭乗後、約10分で飛行開始が可能だというから驚きである。
ただ、KC-46は空中給油機のため、敵機を攻撃したり爆撃したりする装備はなく、あくまで味方の航空機に対して給油をすることがこの航空機の任務だ。
実際に、アメリカ空軍における現状の訓練では、爆撃機や攻撃機に給油する試験が実施されている。
とりわけ日本の航空自衛隊においては、自然災害時における救難隊への貢献、空中給油機としての機能が期待されている。
中には、メインデッキの使用を工夫すれば、人員輸送機としての役割を果たすことができるのではないか、という声もあり、KC-46はその多機能性から、様々な使用方法が検討されるだろう。
KC-46とKC-767の違い
KC-767は、ボーイングが誇る空中給油機であり、今回KC46-Aが設計されるにあたり、ベースとした航空機である。
そのため、KC-46と似た部分も多いが、様々な点で違いが施されている。
まず、KC-46とKC-767はともに、貨物機型航空機をベースとして設計されているが、KC-46は、より大きな貨物機型航空機の部品を組み合わせて作られている。
このことから、KC-46のほうが全長で約2m、主翼幅で約60cmサイズが大きく、燃料搭載量も72tから96tへと増加増えているのが大きな違いだ。
次に、操縦席においても違いがある。
かつて、航空機は、操縦席の中は無数の計器であふれ、常に複数の操縦士が計器の管理、監視に労力を割かなければならなかった。
その点、 KC-767は複数の計器を一括して管理できるグラスコックピットという方式を採用した斬新な航空機であった。
KC-767は、グラスコックピットとアナログ計器を組みあわせていたのだが、KC-46はグラスコックピットを活用しているもののアナログ計器はほとんど採用していない。
給油オペレーター席も3Dディスプレイを採用しており、専用のゴーグルを装着することで、ディスプレイを三次元の立体映像としてみることができ、より精密に給油を行うことができるのも、KC-46が進化しているといえる。
また、航空自衛隊のKC-767では装備していなかったブローブ・アンド・ドローグ方式での給油にも対応したことにより、UH-60J救難ヘリコプターや新たに導入が決定されたF-35B戦闘機、陸上自衛隊のMV-22Bオスプレイへの給油も可能になる。
ブローブ・アンド・ドローグ方式とは、エアシュートがついた給油ホースを伸ばし、戦闘機などが近接して給油口を差し込み給油を受ける方式のことだ。
ただ、受ける側が位置調整する点が難しいとされ、パイロットの技術も影響してくる。
さらに、搭載しているジェットエンジンにも違いがある。
KC-767は、ジェネラル・エレクトリック製のターボファンエンジンを搭載しているのに対し、KC-46Aは、プラット・アンド・ホイットニー製のターボファンエンジンを採用している。
それにより強力なエンジンとなったため、ますます機動力が期待される。
空中給油中の事故
KC-46の空中給油であるが、メリットだけではなくデメリットも存在する。
その一つが事故のリスクだ。
実際に、高知県室戸岬沖では、アメリカ海兵隊の複座戦闘機と空中給油機が空中給油中に墜落し、搭乗員が犠牲になるという事故が起きている。
空中給油中に事故が起きてしまう背景としては、戦闘機や攻撃機のプロペラが空中給油機の一部を巻き込んでしまったり、衝突してしまうことがある。
こうした一定のリスクを考慮し、空中給油は住宅密集地や陸地の上空では避けられて行われるようになっているようだが、事故が起きるたびに搭乗員の尊い命が犠牲になるのはなんとも耐えがたいことである。
しかし、このようなリスクがあっても、空中給油をするメリットも存在する。
まず、第一に航空機が継続して飛行できる時間を増やすことである。
搭載されたガソリンだけに頼っているようでは、飛行継続時間に限界があり、思うように作戦遂行や攻撃ができないという制限が発生してしまうのだ。
そのため、作戦空域に入る前に、空中給油により燃料を補給することで、より長時間のオペレーションを行うことができる。
そしてもう1つの理由が重量の問題である。
航空機にも、とうぜん重量の制限が存在する。
特に、燃料は液体のため重量が重い。
戦闘機は最大離陸重量という制限が決まっており、一定の重量を超えると離陸することができないのだ。
戦闘機はミサイルや爆弾、燃料を多く搭載する必要があるが、搭載する燃料の重さを軽くすることで、より多くの武器を搭載することができるようになる。
つまり、燃料を減らす代わりにミサイルや爆弾等の武器を満載にして離陸し、巡航状態になった時点で空中給油を行うことで、燃料も満タンにすることができるのだ。
空中給油中に敵に探知され攻撃を受けるリスクもあるため、なるべく短時間で一度に大量の燃料を給油することができる方法も研究されており、今後は効率性を重視しながら事故などのリスクが軽減される未来が期待されるだろう。
KC-46 まとめ
KC-46は、KC-767を基盤として設計された新しい空中給油機だが、様々な点で改善点が見込まれている。
日本はアメリカ以外でKC-46の導入を決めた初の国であり、2021年中に機体の引き渡しが行われる予定である。
KC-46の配備基地は鳥取県の美保基地、第405(よんまるご)飛行隊の予定である。
KC-767に比べ、サイズが大きくなり、搭載できる燃料や備品の容量が増えたことや、操縦席におけるグラスコックピットがより重視されて採用されていることから、より性能が向上し、先進的であることがうかがえる。
日本では、戦闘というよりも自然災害における支援が想定されて導入されることになっていると思うが、地震や津波、土砂崩れなど多くの災害に耐え忍んできた歴史を持つ日本にとっては、自衛隊の支援がより強力になり大変心強いだろう。
ただ、命をかけて仕事をする自衛隊員のために、空中給油機に残る事故のリスクが今後軽減されてほしいと願うばかりである。
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