【比較】イスラエルとハマスの軍事力は圧倒的！だが地下トンネルとイランの支援も

2023年10月7日、ガザ地区を掌握するイスラム勢力ハマスは、イスラエルへの大量のロケット攻撃を行い、さらにハマスの兵士たちはイスラエル国内に進入。

無実の市民を拉致し、壮絶なダメージを与えた。

イスラエルもこの攻撃に応え、反撃を展開している。

この事態の詳細な進行は、連日の報道の通りである。

今回は、イスラエルとハマスの軍事力と地下トンネルの秘密、またイスラエルの防空システム「アイアンドーム」を破ったハマスの攻撃について解説していこう。

イスラエルとハマスの軍事力比較。秘密の地下トンネル

イスラエル国防軍がガザ地区のイスラム武装組織ハマスの壊滅を目指して地上軍を送り込むことが間近に迫っている。

この事態がどこまでの影響をもたらすのか、国際的な緊張が一層高まっている。

イスラエルの最良の策略は、その強大な軍事力を駆使してハマスを短期間で撃滅することだ。

彼らの保有する正規軍は約16万9500人で、今回のために予備役36万人を呼び寄せた。

また、2200台の戦車と、最新鋭の「F35ステルス戦闘機」50機という兵力を備えている。

これは1973年のヨム・キプール戦争以降、50年間での最大規模だという。

ハマスの軍事力はそれに比べると小さく、戦闘員は2万から2万5千人、ロケット弾は約3万発程度とされる。

ハマスは、ロケット弾を保有しているものの、20～40kmの射程がある兵器は少数で、大半は手作りである。

イスラエルとハマスの戦力差は、イスラエルが圧倒的に優勢とされている。

しかし、ハマスは、通信を最小限に抑え、デジタルの痕跡を残さないようにすることで、イスラエルを奇襲できる戦術も行っており油断はできない状況だ。

一方、イスラエルは、ハマスとの圧倒的な軍事力の差を背景に、戦車などを多方面から一気に侵攻させ「１か月程度の短期決戦」を望んでいる。

それ以上続けば、社会や経済への影響は計り知れない。

しかし、実際の戦闘がその通りに進むとは限らないことから、この戦いが泥沼化するリスクもある。

ガザ地区は365平方キロメートルのエリアに約220万の人口が居住している。

もし市街戦が発生すれば、ハマスの戦闘員と市民を区別することは非常に困難になる。

イスラム武装組織ハマスの牙城は、地中海の沿岸に伸びる、長さ約50km、幅5〜8kmの細長い地域に位置している。

この地域は、イスラエルによる高い分離壁や厳重な検問所に囲まれている。

一見すると、外部からの武器供給やその隠匿が不可能に思えるこの地域で、ハマスはどのようにしてその力を維持しているのだろうか？

米国の情報機関、CIAは「イランから継続的な軍事的支援を受けている」と報告している。

封鎖されたこの地域への物資供給の手段は、広範囲にわたる地下のトンネルを通じて行われているとされる。

多くの海外メディアは、ガザの地下に存在する480キロメートル、最大深さ40メートルのハマスの「地下トンネル」に注目し、この作戦の困難さを強調している。

2014年のイスラエルとハマスの対立時も、ハマスは地下トンネルを効果的に利用し、イスラエルに大きな打撃を与えた。

ハマスが再び爆発物の設置や待ち伏せ作戦を行う可能性も高い。

一方、イスラエル軍もガザの市街地や地下トンネル、モスクのある地域を模倣した演習を行ってきたとも伝えている。

イスラエルは、深く地中に構築された施設やトンネルを破壊するためのバンカーバスターと呼ばれる地中貫通型の爆弾を有している。

さらに、高度な技術を持つ「メルカバ」戦車を展開することで、地上戦を進める可能性も高い。

また、エジプトは2006年からガザの封鎖に協力しており、トンネルの捜索や破壊活動も進めている。

しかし、この探索活動が追いつかないほどの巨大なトンネルが構築されていることも明らかとなっている。

また、さまざまな情報源から、ハマスが取り寄せた先進的な技術や機器を使用して、ガザ地区内に弾薬や火器の製造施設を擁していることが示唆されている。

このような施設のおかげで、ハマスはロケット弾を3,000発以上も発射するという壮絶な先制攻撃の実行が可能となっているのだ。

この攻撃により、後に解説するイスラエルが誇る鉄壁の防空システムは破られてしまったのだ。

ハマスに破られた鉄壁の防空システム「アイアンドーム」

イスラエルが誇る防空ミサイルシステム「アイアンドーム」は、2011年に誕生し、国の軍需産業の一翼を担うラファエル社が手がけた革命的な技術だ。

このアイアンドームは、敵から放たれる砲弾やロケットの脅威から都市や市民を守るためのもので、さらには、迫撃砲の弾や近年増えつつあるドローンへの対応も可能だ。

システムの仕組みは、飛来するミサイルや砲弾を高性能のレーダーで捉え、その情報を迅速にコントロールセンターへと送信する。

そして、そのデータを基に最も効果的な迎撃方法を算出し、指示通りに迎撃ミサイルを発射するのだ。

その結果、驚異的な96％という高い迎撃成功率を持っている。

イスラエルを取り巻く複雑な地政学的状況の中、アイアンドームは、ガザのハマスやレバノン、シリアなどの近隣国からのロケット攻撃に対する最前線の盾として活躍している。

イスラエルが誇る防空システム「アイアンドーム」は、これまでハマスからのロケット弾を数多く迎撃してきた。

その命中率は75〜80％と高く、一時期は驚異の90％にまで到達したこともあるとされる。

ウクライナのゼレンスキー大統領までもが「アイアンドーム」の力を手に入れたいと強く願っている。

しかしながら、ハマスはその鉄壁を突破した。

低コストなロケットを大量に備え、飽和状態の攻撃を展開した。

結果、アイアンドームの防衛能力はその限界を迎えてしまったのだ。

一見、力で劣るハマスのこの動きは、強大な敵の一瞬の隙を突く戦略であり、ウクライナ軍がロシア軍に対して取った戦術を思い起こさせる。

ハマスのドローン活用は、民間の技術を戦場での利用に転用したもので、これはウクライナ軍の先進的な試みからの影響を感じさせる。

戦場は、技術と戦略の絶え間ない進化であり、今回の事例もその1つを鮮明に示していることだろう。

ハマスを支援する影の主役「イラン」

ハマスの急襲は、5000発を超えるロケットの一斉射撃や、ブルドーザを駆使したバリケードの突破、さらにはハンググライダーや海上からの侵攻と、圧倒的な規模の陸海空一体の作戦で、イスラエルの諜報機関を完全に欺いた。

この複雑で巧妙な作戦は、単なるハマスの手の内には見えず、人々は背後に大きな力が動いているのではないかとの疑念を抱いた。

そして、その疑念は「黒幕」と称されるイランの影の介入への疑惑へと向けられるようになったのだ。

ハマスとイランの関係は、深く結びついている。

イランからハマスへの援助は、物資や資金、さらには武器の供給として具体的に現れている。

この繋がりは、中東の地政学的な状況の中での両者の立場を強化する要因となっているのだ。

イランのエリート部隊である革命防衛隊の高官たちは、イスラエルへの陸海空からの侵攻を構想するため、8月からハマスと密接に連携を取ってきたとされている。

ベイルートを舞台に数度の密会が行われ、その中で作戦の具体的な内容が策定されていたとされる。

今後もイランは、ハマスやイスラム聖戦への軍事支援を続けるとみられている。

次の動画では、各国が欲しがるイスラエルのアイアンドームの性能について解説していこう。