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イスラエル軍が、地上での軍事行動をさらに拡張している。
その焦点は、ハマスの本拠地とされるガザ地区に広がる地下トンネル網にある。
この「メトロ」とも称されるトンネルは、地中深くに「要塞都市」のように広がり、その複雑さは専門家も驚くほどである。
地上作戦を開始して以来、イスラエル軍は130以上の通路を特定し、これを破壊している。
このトンネル内部はどのような状況なのか?
イスラエル軍は、どのような手段で攻撃を仕掛けているのだろうか?
今回は、地下トンネルを破壊するためバンカーバスターと、通路を瞬時にふさぐスポンジ爆弾について解説していこう。
この内容は動画でも見れるよ!
長さ500キロの「地下要塞」を攻撃するバンカーバスター
イスラエル軍は、ハマスの武器庫や潜伏場所600箇所以上を攻撃していると報じられている。
特に注目されているのは、ハマス戦闘員やリーダー、そして230人の人質が潜んでいるとされる巨大地下トンネルだ。
このトンネルを潰すために、イスラエル軍は地下数十メートルを貫通するバンカーバスターを使用したと考えられている。
この戦術の背景には、他国でのバンカーバスターの使用例がある。
ロシアはウクライナのマリウポリで、北朝鮮有事においてもこの強力な爆弾の使用が検討された。
ハマスは地下深くに掘られた「ロケット砲貯蔵施設」を公開しており、これはバンカーバスターのような貫通弾でなければ破壊できない頑強なコンクリート施設だ。
ハマス、地下深くに掘られた
「ロケット砲貯蔵施設」
を公開。
バンカーバスターのような貫通弾でないと撃ちぬけない頑強なコンクリート施設です。
国際支援も転売して軍備にしないよう、考え直さないといけないかもしれません。
#イスラエル #ハマス pic.twitter.com/WX9dDGaIYd— ウク・ロシ&イス・パレ研究 (@bizaglance) October 10, 2023
ガザ地区の地下トンネルは、1980年代に困窮した住民が隣国エジプトからの食料や生活物資の密輸のために掘り始めた。
やがて、武器の取引も行われるようになった。
2000年代に入ると、ハマスはこれらのトンネルを軍事的目的で急ピッチで拡張し始めた。
ガザ地区の地質は粘土質で、容易に掘削が可能であり、崩れにくい性質を持っているため、トンネルの建設が進んだ。
トンネルの深さは、20階建てのビルに匹敵する70メートルを超え、全長は300キロメートルから500キロメートルにも及ぶと推測されている。
病院や住宅地に隠されたトンネルは垂直の「はしご」を使っておりることができる。
これらのトンネルは、作戦本部、発電施設、人質を収容する部屋などを含んでいる。
また、ロケット弾や迫撃砲が配備され、リモコン操作で発射可能な構造になっている。
イスラエル側は、この地下トンネル網に対してどう対処するのだろうか。
注目されているのが「バンカーバスター」と、後ほど解説する「スポンジ爆弾」である。
バンカーバスターは、地下施設や強固な構造物を目標とする特殊な爆弾である。
バンカーバスターの特徴は、重く硬質な素材による深い貫通能力と、標的内部までもぐりこんだ時点で爆発する仕組みで強大な破壊力をもつ。
これにより、地下施設やコンクリート構造物の内部を大きく破壊し、ターゲットに甚大なダメージを与える。
過去には、第二次世界大戦中のナチス・ドイツの地下施設、湾岸戦争でのイラクの地下指揮施設、アフガニスタンでのタリバンやアルカイダの隠れ家、イラク戦争
でのサダム・フセイン政権の地下施設攻撃などに使用された。
しかし、ハマスによる約230人の人質が地下トンネルに収容されているとみられ、この攻撃は国内外から批判を受けている。
バンカーバスターは軍事施設や要塞化された標的に対して極めて効果的な兵器だが、その使用には民間人の安全や周辺環境への影響を考慮する必要があり、細心の
注意と厳格な判断が求められる。
イスラエル軍は、アメリカから供与されたこれらの爆弾を使い、トンネルに打撃を加えているとされている。
一方で、ガザ地区では通信が遮断され、外部との連絡が断たれている。
イスラエル軍は約100機の戦闘機で地下目標150箇所を攻撃し、バンカーバスターが使用されたと報じられている。
ハマスが地下でのゲリラ戦を展開しようとする中、イスラエル軍はもう1つの兵器「スポンジ爆弾」を使用して、地上戦に備えている。
トンネル内を瞬時に封鎖するイスラエル最新兵器スポンジ爆弾
地上侵攻が本格的に始まると、イスラエル軍は地下トンネル戦に挑むことになる。
人質救出とハマス戦闘員の殺害が主目的だ。
そこで注目されているのが、新兵器「スポンジ爆弾」だ。
ガザ地区は東西に10キロ、南北に40キロという狭い範囲にありながら、地下には約1300本の巨大トンネルがクモの巣のように張り巡らされている。
これらのトンネルは、地下20メートルから70メートル以上の深さに及び、総距離は約480キロメートルにもなる。
これらのトンネルをふさぐために使用されるのが「スポンジ爆弾」である。
この爆弾は、大量の泡を放出し、急速に固化してトンネルを封鎖する能力を持つ。
プラスチック製の袋に分離された2種類の揮発性液体が混合されると、化学反応によって膨張し硬化する。
スポンジ爆弾のメリットは、トンネルや地下通路を瞬時に封鎖する能力があり、周囲の被害を最小限に抑えながら効果的に目標を達成できる点が特徴的である。
小型で軽量なため、運搬や操作が容易で、迅速な対応が求められる状況でも有効に活用できる
トンネル内で爆発させるだけで瞬時に封鎖が可能であること、周囲の被害を最小限に抑えられること、そして小型軽量で運用が容易であることだ。
しかし、トンネルの形状によっては効果が発揮されにくいこと、戦闘員を完全に閉じ込めることが難しいことがデメリットとして挙げられる。
イスラエル軍は、ネゲヴ砂漠に「ミニ・ガザ」と呼ばれる都市戦訓練センターを建設し、そこでスポンジ爆弾の訓練を行っている。
実験場では、画期的な「スポンジ爆弾」のテストが実施されたとの報告がある。
ここでは、イスラエル軍のためにガザの建物や状況を模倣した環境が作り出され秘密施設で行われた。
この革新的な「爆弾」には、従来の爆発物に見られる発火要素が含まれていない
使用には、戦闘機が特定のパーティションを取り外すか、あるいは何らかの機構を利用する必要がある。
これにより、2つの成分が混ざり合い、化学反応が引き起こされる。
この反応によって生成される大量の泡状物質は、急速に膨張し、使用される空間を埋め尽くす。
さらに、この泡は素早く硬化し、一種の海綿状の栓を形成する。
この技術は、従来の兵器にはない新しい局面を軍事作戦にもたらす可能性がある。
戦闘環境において、より安全かつ効果的な方法で目標を達成する手段を提供するものである。
一瞬で広がるため、薬剤を浴びて兵士が失明する事故も発生している。
スポンジ爆弾は、一瞬でトンネルを塞ぐ壁を作り出すことで、ハマス戦闘員の移動を阻止し、イスラエル軍の安全な移動ルートを確保する助けとなる。
ただし、イスラエル軍は、約240人の人質の正確な居場所が完全には判明していないと考えられている。
この状況下では、トンネル内部へ爆発物による破壊行為は避けられる見込みだ。
人質の安全が最優先されるため、軍はより慎重なアプローチを採る必要がある。
トンネル内の状況を正確に把握し、人質の安全を確保しつつ効果的な対策を講じることが、この危機的状況において重要な課題となっている。
次の動画では、バンカーバスターの仕組みとその威力について詳しく解説しよう。
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