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航空自衛隊初となるステルス戦闘機F-35A。
その性能は従来までの戦闘機を凌駕するハイテクの塊である。
半世紀にもわたり、日本の空を守ってきたF-4ファントムの後継機として、F-35Aは6機種の中から選ばれ、1機当たり99億円で42機の調達が行われた。
さらに初期型F-15Jの後継機として105機が追加されることとなった。
合計147機のうち42機がF-35Bで、この機体は短距離離陸垂直着陸ができ、海上自衛隊の「いずも」と「かが」の空母化改修が完了したのち搭載される予定である。
F-35は航空自衛隊唯一の第5世代戦闘機として配備される戦闘機である。
動画では、F-35導入までの経緯と最新の装備の概要、そして日本で起きた墜落事故について解説するよ!
次期戦闘機「F-X計画」で選ばれたF-35
航空自衛隊では次期戦闘機の選定として、大規模な「F-X計画」を実施してきた。
これは世界中から航空自衛隊の次期主力戦闘機を探すことが目的である。
その結果、候補として挙がった戦闘機がF/A-18スーパーホーネット、F-15Eストライクイーグル、F-22ラプター、ラファール、タイフーン、そしてF-35ライトニングⅡの6機種である。
この中から最終選考に残ったのが、米空母の主力艦載機であるF/A-18、最新鋭のステルス戦闘機F-35、ヨーロッパを代表する4.5世代戦闘機タイフーンの3機種であった。
そして2011年に行われた安全保障会議で最終的に選ばれた機体がF-35であった。
F-35を開発したのはアメリカ「ロッキードマーチン社」で、「統合打撃戦闘機」と呼ばれる新しいカテゴリーの戦闘機として登場した。
統合とは、空軍、海軍、海兵隊という3つの部隊で運用できることを意味し、F-35にはA、B、Cの3つのタイプあり、それぞれ仕様が異なっている。
その中で各国空軍や航空自衛隊に配備されるのがF-35Aである。
アメリカは他国と共同して作戦が行えるようにF-35の配備をイギリスやイタリアなどにも進めている。
航空自衛隊に配備されたF-35Aと1号機の墜落
2016年9月、ロッキードマーチンの工場にて日本への第1号機となる機体の引渡し式が行われた。
このときの様子はインターネットで世界中に生配信された。
同年11月からは、アメリカのアリゾナ州にあるルーク空軍基地で日本、韓国、イスラエルなどF-35輸出国に対するパイロットの養成や整備員に対する教育が行われた。
航空自衛隊に配備されるF-35Aのうち、最初の4機まではアメリカのロッキードマーチン社のフォートワース工場で組み立てが行われ、アメリカ国内での教育に使用された。
その機体にはすでに「日の丸」が描かれていたのが印象的であった。
5号機以降は愛知県の空自小牧基地と滑走路を共にする三菱重工でライセンス生産が行われている。
ライセンス生産とは、日本の民間企業が外国企業と契約を結び、所有権の使用料を払って許可を得た上で「作らせてもらう」ことである。
戦闘機をはじめ多くの航空機にライセンス生産が適用されている理由は、世界的にみれば、航空機分野においては日本の技術が追いついていないからである。
F-35の生産については、アメリカ国防総省が認定するFACOという施設が必要となり、厳しい審査の結果、名古屋の小牧南工場がFACOとして認められた。
完成した5号機は最終点検を受けるためにアメリカに送られたのち、ルーク空軍基地で他の4機と合同でパイロット養成として使用された。
養成が終了したのち2017年2月に、日本人パイロット初となるF-35Aのテスト飛行が行われた。
2018年には5機のF-35Aは航空自衛隊三沢基地に配備されることとなった。
それ以降はパイロットの養成や整備員の教育は全て三沢基地で行われている。
6号機以降は、組み立て完成後はアメリカでの検査を受けることなく、直接三沢基地に配備されている。
三沢基地の「第302飛行隊」では、全てのF-4EJ改が引退したことから2019年3月にF-35Aの部隊として生まれ変わり、現在合計10機の機体が配備されている。
翌年にはF-4EJ改最後の飛行隊である「第301飛行隊」の壮行会が行われ、2021年からF-35A飛行隊となった。
このように、航空自衛隊では着々とF-35Aの配備が進んでいるが、その中で悲劇の事故が発生したのだ。
2019年4月9日19時27分、訓練のため三沢基地を飛びたったF-35Aが約135km離れた太平洋上で突然レーダーから消えた。
捜索の結果、翌日に機体の一部が海上で発見されことから墜落と断定された。
この事故が原因で、航空自衛隊のF-35Aは全機が飛行停止とされ調査が行われた。
墜落したF-35Aは国産第1号機であり、海上自衛隊と保安庁の捜索の末、墜落から2ヶ月後の6月9日に、この機体のパイロットと思われる遺体の一部が発見された。
墜落の原因はパイロットの空間識失調であることが判明し、機体に問題がなかったことから飛行が再開された。
空間識失調とは、ベテランパイロットでも陥ることがあり、航空機の姿勢や位置、方向などが把握できなくなる状態となる。
F-35が登場して、これが世界初の墜落事故となってしまったのだ。
F-35の性能と死角ゼロを可能にしたヘルメット
F-35Aは様々なミッションをこなせるマルチロール機であり、空対空、空対地攻撃のほか、今後は空対艦攻撃も担当することになる。
現在は領空に近づく不明機に対するスクランブル発進は行っていないが、体制が整えば領空侵犯措置を開始するものと思われる。
F-35Aは航空自衛隊初のステルス戦闘機として配備され、機体表面は塗装ではなく敵のレーダー波のエネルギーを減衰させるステルスコーティングが施されている。
そのため、従来のような派手な塗装を行うとステルス性を低下させることになることから、グレー一色のカラーリングになっている。
日の丸マークも赤ではなく機体全体がロービジ(低視認性)を追求している。
F-35Aの操縦はシステムが補助してくれるため、適切な機体の制御を行うことができる。
F-15のようにシステムがほとんど介在しない機体はパイロットの入力がダイレクトに機体に伝わるが、F-35Aは操縦による個人差が出にくい機体といえる。
コックピットには大型モニターが1枚設置され、デフォルトの表示以外にパイロットが2つに分けたり4つに分けたり見やすいように自由に分割できる。
常に変化する情報をパイロットが望む場所に表示できる機能は従来までの戦闘機にはない機能である。
パイロットが装着するヘルメットは非常に高性能な機能が付加されており、その価格は4500万円と高価である。
F-35の機体には6箇所にEO-DAS(イーオーダス)と呼ばれる赤外線センサーが取り付けられ、撮影された映像や情報をパイロットのヘルメットバイザーに表示することができる。
最新鋭のカメラシステムにより360度の映像がバイザーに映しだされ、パイロットが下を向けば自分の体や機体を透過して、下の景色を見ることができる。
つまりどこを向いても機体越しに外の景色が見られる「死角ゼロ」の状態で作戦を遂行することができるのだ。
また、F-35Aはイージス艦と情報をリンクして共同攻撃するリモートセンサーとしての役割も果たすことができる。
艦艇のレーダーは高度が高い目標ならば数百キロ先の距離で探知できるが、超低空飛行で近づく戦闘機やミサイル、また敵艦艇など高度が低い目標については、地球が球体であることからイージス艦でも、ある程度の距離に近づいてこなければ探知することができない。
そのような目標をF-35が上空から先制探知し、その情報をイージス艦などと共有できるリンクシステムを搭載している。
F-35Aから送られてきた情報をもとにイージス艦はミサイルを発射して攻撃をすることができるのだ。
海上自衛隊では最新鋭イージス艦の「まや」と「はぐろ」が、そのネットワーク化を可能としており、いずれF-35とリンクできるようになる。
このようにF-35は高いパフォーマンスを秘めているが、それを使うのは最終的には「人」である。
どんなにハイテクな技術が結集された機体でも、状況を判断して決心を下したり、機体の性能を最大限まで引き出したりするのは人間であるということを忘れてはならない。
次の動画ではF-35墜落の瞬間をとらえた映像とともに、その原因について解説しよう。
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