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2020年9月28日、ドイツ空軍のユーロファイター戦闘機3機が、はるばるヨーロッパから茨木県にある航空自衛隊百里基地に飛来してきた。
ドイツ空軍機が日本に飛来してくるのは今回が初めてであり、航空ファンの注目を集めた。
今回の来日の目的は、ドイツ空軍が実施しているアジア地域への大規模展開訓練「ラピッド・パシフィック2022」への参加のためであり、飛来したのはユーロファイター3機の他に、A330MRTT空中給油・輸送機1機、A400M輸送機1機である。
3機の内の1機にはドイツ空軍のトップの「インゴ・ゲアハルツ総監」自らが搭乗し操縦を行った。
機体には特別塗装がされており、機体上部には「ラピッド・パシフィック2022」で訪問する国々の国旗、それに右翼には日の丸の塗装が、施されていた。
初来日したドイツ空軍のユーロファイターのカッコいい姿を動画でも見てね!
ドイツ空軍ユーロファイター初来日
ドイツ空軍は、今回の訪日以前にもドイツ本国からシンガポールまで24時間以内に展開する飛行訓練を行っており、オーストラリアで行われた多国間訓練「ピッチブラック22」にも参加している。
日本から遠く離れたドイツにおいてもインド太平洋地域の安定は、重要な意味を持つため、安全保障の分野においてドイツは日本とのパートナーシップの強化に努めている。
有事の際には航空自衛隊とドイツ空軍が、日本において共同作戦を行うこともあり得るのである。
今回シンガポールから8時間かけて日本に飛来してきたユーロファイター3機は、航空自衛隊のF-2戦闘機3機と富士山方面の上空において合流し 百里基地上空まで編隊飛行を行った。
ドイツ軍部隊は日本に3日間滞在し、共同訓練や部隊間交流などを行った。
記者会見においてゲアハルツ総監は「チーム一丸となって参加することを大切にしたいと思い、自らも飛行を決断した。総監として操縦して来日するのは、日本との関係を大事にしていることの証でもある」と話した。
これに応えるかのように日本側も空自トップの井筒航空幕僚長がF-2に搭乗し、訓練に参加した。
ドイツ空軍は8月以降、インド太平洋地域に戦闘機を派遣し訓練を行っている。
これは年々軍事力を増大させてきている中国に対処するための連携が狙いであると思われる。
訓練後、井筒空幕長は「極東で日独機が共に飛行することの歴史的意義の大きさに感動した」と、この訓練の意義を強調した。
またゲルハルツ中将は「ドイツが、この地域を重視していることの表れで、今後も関与を強化していく予定だ」と話した。
今回は、日本とドイツの空軍のトップが共に戦闘機に搭乗するという異例の訓練となった。
ユーロファイタータイフーン とはどのような戦闘機か?
ユーロファイタータイフーンは、イギリス、ドイツ、イタリア、スペインの 四ヵ国が共同開発した4.5世代戦闘機である。
1994年に初飛行が行われており、2003年より運用が開始されている。
総生産機数は571機で最高速度はマッハ2.0、 航続距離は2900キロである。
主翼はデルタ翼と呼ばれる三角形の翼をしており、コックピット前方にカナードを備えているところから、カナードデルタと呼ばれる機体構成となっている。
このカナード翼によりユーロ―ファイターは、大きな揚力を得ることができる。
これにより短距離離着陸が可能となり、本来なら戦闘機の滑走路は1500m程度必要なのに対し、ユーロ―ファイターは700m程度の滑走路での運用が可能である。
またユーロファイターはマルチファイターとも呼ばれる多用途戦闘機であり、制空戦闘や偵察などあらゆる任務に対応できる。
運動性能も良く、で2005年にイギリスで行われた共同訓練においては、ドッグファイトでF-15Eをシミュレートで撃墜したという説がある。
またイギリス防衛評価研究所の試算によると、BVR戦闘と呼ばれる有視界外戦闘においてはロシアのSu-35とのキルレシオは1対4.5となっている。
キルレシオとは空中戦における自軍と敵軍との撃墜比のことで、ユーロ―ファイターが1機撃墜される前にSu-35を4.5機撃墜できるということである。
また空対空ミサイルを6発装備した状態での超音速巡航飛行が可能であり、マッハ0.9からアフターバーナーを使用してマッハ1.5になるまでの所要時間はF-35の2/3と短く、マッハ1.5における維持旋回率はF-35の2倍であるなど運動性能が非常に高い戦闘機でもある。
ステルス性については前方からのRCSと言われるレーダー反射面積の低減が図られており、電波吸収材が多用され、正面からのRCS値は最新型F/A-18やラファールよりも小さく、ステルス機に次いで探知される確率が低いという評価もある。
ユーロファイタータイフーンとラファールの違い
1980年代にフランス、イギリス、西ドイツの3国で、新戦闘機の開発が行なわれていた。
しかしフランスは自国で開発したエンジンの採用および空母艦載機用に機体の小型・軽量化を望んだが、他国に反対されたため、フランスはこの戦闘機の開発計画から脱退し、単独で新戦闘機を開発することとなった。
その結果、誕生した戦闘機が「ラファール」だ。
そのためイギリスと西ドイツは、新たにイタリアとスペインを含めた4か国でユーロファイタータイフーンを完成させたという経緯がある。
つまりユーロファイターとラファールは 当初は同じ目的で 開発された兄弟機ともいえる機体なのである。
そのため機体形状もよく似ており、主翼のデルタ翼やカナード翼を採用している点は同じである。
違いとして挙げられるのは、まず機体の大きさにある。
ユーローファイターは空軍機であるのに対し、ラファールは海軍において航空母艦での使用ができるように設計されている。
機体重量の軽減を図るため、ラファールはユーロ―ファイターよりも、やや小型の機体になっている。
性能面の違いでは、ユーロ―ファイターはアフターバーナー不使用時における超音速巡航飛行が可能なのに対し、ラファールは、この機能をもっていないと言われている。
従来の戦闘機で超音速巡航飛行を行うにはアフターバーナーを点火させて推力を増す必要がある。
しかし、このアフターバーナーを使用せず超音速巡航飛行ができるというのはユーロ―ファイターの大きな強みであるといえる。
一方レーダーにおいてはフェーズドアレイレーダーを搭載するラファールの方が探知能力は上だと言えるだろう。
ユーロ―ファイターにはこのレーダーは装備されていない。
また兵装の面においては4か国共同開発のユーロ―ファイターの方が汎用性があり、アメリカ製のミサイルや爆弾を搭載することが可能なのに対し、ラファールはフランスの独自開発のため、自国製の兵装しかできないのが不利な点と言える。
平和ボケによるドイツの弱体化
アメリカとソ連の長い対立時代であった冷戦は終わり、その後長らくの間、ヨーロッパ方面におけるEU諸国には、軍事的な脅威となる国は存在していなかった。
そのため各国は、 軍事費を削減し続けていた。
ドイツも例外とは言えず、兵力の大幅削減が行われてきた。
その結果、ドイツ空軍の機体の稼働率は極端に悪化し軍の弱体化が進み、国民の多くは軍事費の増加には批判的であった。
日本でよく言われている平和ボケ現象が、ヨーロッパでも起きていたのである。
戦争とは別の意味で軍は存亡の危機に立たされていた。
しかし幸か不幸かロシアによるウクライナ戦争が始まったことを機会に事態は急変した。
当初は世界各国がウクライナに対して兵器の支援を行っている時に、ドイツはヘルメットのみ支給するという弱腰の態度を示し、各国から大きな批判を受けた。
これによりドイツ政府は、今までの政策を根本的に改めて本格的な軍事支援に踏み切り、軍事費の増額を行い、かつての勢力を取り戻しつつある。
そして、今までロシアに対しては中立を保ってきた国は、EUへの加盟を申し出る事態となってきている。
EU各国は、軍隊の派遣こそしていないが、あらゆる武器や食料などの支援をウクライナに対して送っている。
核の使用をも仄めかすロシアの暴挙に対しドイツを始めとするEU各国は、今ひとつになったのである。
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