機能が欠けた陸自ヘリのブラックボックス。その仕組みと衝撃に耐える強度
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墜落した陸上自衛隊のヘリコプターのフライトレコーダーが回収困難とのことに対し、防衛省は「軍事作戦において、洋上を飛行することを想定していない」という驚きの回答が返ってきた。

陸自ヘリは海での墜落などを想定した仕組みになっておらず、回収が困難になっている報じられている。

今回は、陸上自衛隊のヘリコプター事故に関する事実とともに、ブラックボックスの重要性をしめす事故事例について解説していこう。

しまかぜ

ブラックボックスの仕組みや役割を動画でも解説してるよ!

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ブラックボックスとフライトレコーダーの違い

航空機のブラックボックスとは、飛行データレコーダーとコックピットボイスレコーダーを含む装置の総称であり、航空事故調査に欠かせない重要な役割を果たしている。

つまり、飛行データ用のフライトレコーダーと通信用のボイスレコーダーを2つ合わせて一般的にブラックボックスと呼ぶのである。

飛行データレコーダーは、航空機の速度、高度、方向、エンジンの状態などのデータを記録し、ボイスレコーダーはコックピット内の音声や通信を記録する。

これらの情報は、事故発生時の状況や原因を解明するために使用され、事故防止や航空安全の向上に役立てられる。

ブラックボックスは、多くの航空機に搭載され、機体の安全性向上に貢献している。

また、ブラックボックスは実際には目立ちやすいオレンジ色であり、事故現場での回収を容易にするためである。

では、事故の原因をどうやって解明するのだろうか?

事故調査では、ブラックボックスから得られた飛行データや音声情報を解析することで、事故の原因を明らかにする。

データは、事故の直前の状況やパイロットの操作、機器の故障、気象条件など、さまざまな要因を調査するのに役立つ。

事故調査チームは、これらの情報を元に事故原因を特定し、今後の安全対策に活かすことができる。

また、事故調査の過程で得られた知見は、航空機の設計や運航手順の改善にも役立てられる。

さらに、航空事故調査の結果は、国際航空安全に関する情報の共有や、他国の航空業界や政府機関との連携を促進する上で重要な役割を果たしている。

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機能が欠けた陸自ヘリのブラックボックス

陸上自衛隊のヘリコプター事故に関連して、防衛省はフライトレコーダーが洋上での事故を想定していないと説明した。

洋上飛行を想定する海上自衛隊や航空自衛隊のヘリコプターには、ビーコン機能が装備されているが、陸上自衛隊のヘリコプターにはその機能が欠けていた。

ビーコンとは、無線信号や光信号を発信する装置で、通常、位置情報や識別情報を送信するために使用される。

航空機や船舶、救命胴衣などに装備されることが多く、事故や遭難時に救助隊が位置情報を受信して迅速に対応できるようにする目的で装備されている。

例えば、航空機のフライトデータレコーダーやコックピットボイスレコーダーには、通常、ビーコンが装備されており、これにより、事故が発生した場合に、救助隊がデータレコーダーの位置を特定しやすくなり、事故原因の解明や遺族への説明がスムーズに行われることが期待される。

自民党が開いた会議で、出席議員は沖縄の第15旅団や南西諸島に展開する陸上自衛隊のヘリコプターも洋上での事故に備えるべきだと指摘し、防衛省は検討すると回答した。

しかし、事故機が用途外使用であり、搭乗していた幹部がそれを知らなかったり黙認したりするのは大きな問題だ。

コンプライアンス意識が低いのか、突然決まったのか、不自然な事象には必ず理由がある。

今回の事故を受けて、防衛省は陸上自衛隊のヘリコプターの装備や用途に関する見直しを進めるべきだ。

そうしないと、日本の安全保障が守れないリスクが増大するであろう。

過去に起きた事故でブラックボックスに関する興味深い内容の事例がある。

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過去に発生した事故の真相

過去に起きた興味深いブラックボックス関連の話はいくつかあるが、その中でも特に有名な事故は、以下の2つの事例である。

エア・フランス447便墜落事故

2009年6月1日、リオデジャネイロからパリへ向かっていたエア・フランス447便が大西洋上で墜落した。

この事故は、リオデジャネイロからパリへ向かっていたエアバスA330型機が、大西洋上で墜落したものである。

原因究明のため、捜索隊は過酷な海洋環境でブラックボックスの捜索を行い、2011年に海底約3,900メートルから回収に成功した。

当初、悪天候や機体の技術的問題が原因だと考えられていたが、2年後に海底から回収されたブラックボックスの解析結果により、異なる結論が導かれたのだ。

データ解析の結果、速度計の氷結による誤動作とパイロットの不適切な対応が事故原因と判明した。

機体のピトー管とよばれる対気速度を測るセンサーが氷結し、誤った速度情報が表示されたことがわかった。

これが原因で、自動操縦が切れ、パイロットが機体を手動操作しなければならなくなったのだ。

しかし、パイロットが適切な対応を取れず、失速状態から回復できないまま墜落したことが判明したのだ。

この事例では、ブラックボックスのデータが、事故原因が単純な技術的問題ではなく、複合的な要因、センサーの氷結、自動操縦の切断、パイロットの判断ミスによるものであることを示し、ブラックボックスの重要性を示している。

マレーシア航空370便失踪事故

2014年3月8日、クアラルンプールから北京へ向かっていたマレーシア航空370便が消息を絶った。

この事故は、クアラルンプールから北京へ向かっていたボーイング777型機が、突然消息を絶ち、未だに行方が分からないままである。

ブラックボックスの捜索は、インド洋を中心に広範囲にわたって行われたが、未だに見つかっていない。

一部の機体の破片や乗客の遺品が発見されているものの、ブラックボックスが見つからないため、事故原因の特定が難しい状況が続いている。

この事例は、ブラックボックスが事故調査においていかに重要であるかを示している。

現代では当たり前のように装備されているブラックボックスとは、どのような仕組みなのだろうか?

ブラックボックスが開発された背景と仕組み

ブラックボックスは、航空事故の原因究明や安全性向上を目的として開発された。

過去の事故調査では、限られた情報だけで原因を特定することが困難であったため、より詳細なデータを提供する装置が求められた。

これがブラックボックスの開発へと繋がった。

また、航空機が急速に発展し、より高度で複雑なシステムが搭載されるようになったことも、ブラックボックス開発の背景にある。

ブラックボックスは、耐衝撃性や耐熱性に優れた構造を持っている。

内部には、飛行データや音声情報を記録するためのメモリーユニットがあり、外部からの衝撃や高温に対抗するための保護ケースで覆われている

また、事故時にブラックボックスが海中に沈んだ場合でも、検出可能な信号を発する水中位置標識装置が搭載されている。

航空機のブラックボックスの素材 ブラックボックスは、耐衝撃性や耐熱性に優れた素材で作られている。

通常、外部ケースはチタンやステンレススチールなどの強度の高い金属で作られ、内部は高温に耐えられる特殊な断熱材で覆われている。

これにより、ブラックボックスは事故時の激しい衝撃や火災にも耐えられるようになっている。

航空機のブラックボックスは、通常、機体の後部に設置されている。

これは、衝撃が機体前方から伝わることが多いため、後部に設置することで衝撃を最小限に抑える目的がある。

また、機体後部に設置することで、事故時にブラックボックスが機体から分離しやすくなり、回収が容易になる。

ブラックボックスの解析は、専門的な技術と知識が必要であるため、限られた国々でしか行うことができない。

主要な解析能力を持つ国には、日本をはじめアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、オーストラリアなどがある。

これらの国々は、航空事故調査に関する国際的な協力体制の中で、解析技術や知見を共有し、航空安全の向上に取り組んでいる。

事故原因の特定と航空安全の向上

航空機のブラックボックスは、事故調査や安全対策において非常に重要な役割を果たしている。

飛行データレコーダーやコックピットボイスレコーダーなどのデータは、事故原因の特定や航空機の設計・運航手順の改善に役立てられる。

ブラックボックスは耐衝撃性や耐熱性に優れた構造・素材で作られており、機体後部に設置されている。

限られた国々が解析能力を持ち、国際協力を通じて航空安全の向上に貢献している。

これらの要素が組み合わさって、ブラックボックスは航空事故の防止や航空安全の向上に不可欠な存在となっている。

次の動画では、航空自衛隊のF-15が離陸後11分で何らかの原因で墜落した事故について解説しよう。

 

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