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空母は正式名称を「航空母艦」といい、多数の航空機を搭載し、海上における航空基地の役割をする軍艦のことをいう。
言わば「動く飛行場」である。
第二次世界大戦が始まる前までの海軍の主役は戦艦であり、空母は戦艦の補助的役割しかしていなかった。
その空母の威力に、いち早く目を付けたのが日本海軍である。
空母を中心とする日本海軍の機動部隊による真珠湾攻撃で停泊中のアメリカ戦艦が撃沈され、さらにその後のマレー沖海戦により作戦行動中のイギリス戦艦2隻が日本海軍の航空機により撃沈された。
それ以降、海軍の主役であった戦艦は空母にその座を譲ることとなった
そして現在に至るまで空母は引き続き海軍力の中心として重要な役割を背負っている。
今回は対立を深めているアメリカと中国の2国が現在保有している最新鋭の空母の性能と、米中の空母打撃群が衝突した場合、どのようになるかを解説していこう。
米中空母の性能や艦載機を動画でも見られるので、最後まで楽しんでね!
米海軍最新空母「ジェラルド・R・フォード級」
ジェラルド・R・フォード級航空母艦は、アメリカ海軍が現在保有している最新の原子力空母である。
2017年から就役しており、現在2隻が建造されているが将来的には10隻になる予定である。
満載排水量は101,600トン、全長337m、最大幅78m、吃水12m、主機は蒸気タービン4基で原子炉はA1B加圧型原子炉2基が搭載されており、速力は30ノット以上をだすことが可能だ。
原子力の原料となるウランはたった1gで、なんと石油2000L(ドラム缶10本分)に相当するエネルギーを発生する。
10万トンを超える巨体でイージス艦などの艦艇と同じ速力が出せるのは原子力がなせるパワーだろう。
乗員については操艦要員が2180人、航空要員が2480人となっている。
兵装としては、近接防御火器システムCIWSを3基、ESSM短SAM8連装発射機2基、これはシースパローの後継として開発された艦対空ミサイルで日本では発展型シースパローと呼ばれている。
RAM近SAM21連装発射機2基、これはアメリカとドイツが共同開発した近接防御ミサイルである。
M2 12.7mm重機関銃4基、この機関銃は第二次世界大戦中から使用されているが性能が優れているため、現在でも海上自衛隊を含め各国で使用されている。
搭載機としては単座型のF/A18E及び複座型のF/A18F戦闘機を24機、F-35C戦闘機を20機、Eー2C早期警戒機、及びその発展型のEー2Dを5機、そしてEAー18G電子戦機を4機、これはF/A18Fをベースにして開発された機体でグラウラーという愛称で呼ばれている。
その他、C-2Aグレイハウンド輸送機6機、SHー60Bシーホーク哨戒ヘリコプター2機など計75機以上の機体が搭載されている。
レーダーはSPY-3多機能レーダーが1基装備されており、イージス艦のように全周をカバーできる。
基本的な艦の性能としては、ニミッツ級と同等であるが飛行甲板は新しく開発された高強度強靭鋼(きょうじんこう)のHSLA-115になり強度や耐弾性を向上させつつ軽量化を図ることが可能になった。
また艦橋はレーダー反射面積を低減させステルス性をもたせるために傾斜が施されているのが特徴である。
では、対立する中国の最新空母の性能はどの程度のものなのだろうか?
中国海軍国産空母「山東」
山東は中国初の国産空母である。
1隻目の「遼寧」は旧ソ連から輸入した「空母ヴァリャーグ」を改修したものであることから、実質「山東」が中国空母の一番艦といえる。
就役は2019年12月17日。
満載排水量は70,000トン、全長は308.5m、最大幅38m、速力は30ノット、搭載機はJ-20戦闘機が32~36機、Z-9汎用ヘリコプターが2機である。
山東は遼寧の改良型であり、違いとしては格納庫を拡張し10機分の格納スペースを取ることが可能になったことが挙げられる。
これにより遼寧ではJ-15戦闘機を24機搭載していたものが、山東では32機から36機を搭載可能になっている。
またスキージャンプ甲板も角度が遼寧では14度であったものが山東では12度に変更されており、艦橋の大きさも1割ほど小型化されている。
なお推進システムとしては同じ蒸気タービンが採用されているが、速力は30ノットから31ノットに向上している。
艦橋は改良され、新型の346型多機能フェーズドアレイレーダーで、別名「ドラゴンアイ」(龍の目)と呼ばれる最新レーダーで新型駆逐艦055型レンハイ級などにも装備されている。
また遼寧では前方の艦橋が1層なのに対して山東では2層になっており、下層が司令部用で上層が航海用となっている。
山東についてはひとつ気になるニュースがある。
2021年6月28日、あるツイッターのユーザーが山東の飛行甲板に損傷を受けたと思われる箇所を撮影した衛星写真が投稿され注目を集めた。
損傷個所は艦載機が離陸を行うデフレクター周辺や着艦する箇所の飛行甲板が損傷していると思われていた。
デフレクターとはジェットエンジンの噴射する高温の排気から人や物を防護するための壁のことである。
しかし、この写真をよく確認してみると、甲板が濡れている点、洗剤のような白いものが見える点、白いラインには損傷による切れ目がないところから、どうやらこれは甲板清掃をしている時の写真ではないかという説も出てきた。
損傷しているかのように見えた部分は清掃のための機材や人であった可能性が高いということである。
たしかに完成したばかりの空母の飛行甲板が短期間のうちに損傷することは考えにくいことから、こちらの説の方が事実である確率は高いであろうと考えられる。
では、アメリカ海軍の「 ジェラルド・R・フォード」中国海軍の「山東」率いる空母打撃群が戦闘となった場合、どのような事態が想定されるかシュミレートしていこう。
ジェラルド・R・フォードVS山東
空母は単体で行動することはなく、必ず空母を護衛する複数の艦艇と共に行動する。
それが空母打撃群だ。
アメリカでは「ストライクグループ」と呼ばれている。
空母打撃群とは航空母艦を中心として、それを護衛する巡洋艦、駆逐艦、攻撃型潜水艦、補給艦などで構成される戦闘部隊の一つである。
では、その空母打撃群の戦闘はどのように行われるのかを見てみよう。
まず敵の航空基地に対する攻撃としては、攻撃型潜水艦やイージス艦のトマホークミサイルによる攻撃が行われる。
トマホークとは地上の目標に向けて飛んでいく長距離誘導ミサイルで射程距離は3000kmもあるため、敵からの攻撃を受けることなく相手を攻撃できる。
これにより、まずは敵の航空戦力や通信基地、司令部をせん滅する。
敵の艦隊に対しては偵察衛星からの情報を元にして潜水艦やEー2Cが敵艦隊の索敵を行い、発見すれば空母にデータを送り艦載機を発艦させて対艦攻撃を行う。
アメリカ海軍の場合、1個打撃群の通常編成は原子力空母1隻、イージス巡洋艦1隻、イージス駆逐艦2隻、攻撃型原潜1隻、補給艦1隻の計5隻が標準となっている。
アメリカ海軍は、この強力な空母打撃群をなんと11グループも保有しており、世界各国に展開しつつ24時間以内に世界中のどこでも攻撃可能な態勢をとっている。
なお、この空母打撃群は状況によっては複数で行動することがあり、湾岸戦争の時には5個空母打撃群が集結した。
では、もし中国海軍の艦隊とアメリカ海軍の艦隊が戦闘を行うとどうなるのだろうか、ということについて考えてみよう。
まず空母の保有数を見てみよう。
中国は2隻、アメリカは11隻とアメリカが圧倒している。
しかも中国の空母は通常動力なのに対してアメリカの空母は原子力、つまり艦内に原子炉を持ち、原子力の力で航行ができるので燃料補給をすることなく、長期にわたって行動することが可能な面から見てもアメリカの方が有利である。
さらに搭載されている航空機の数もアメリカの方が圧倒艇に多い。
それに中国空母はスキージャンプ式の飛行甲板で艦載機を発進させるため、完全武装のJ-15を発艦させることは不可能である。
そのため、燃料や弾薬を減らさないと発艦できない。
対して、米空母はカタパルト式なので機体の重量を気にすることなく発艦させることができる。
空のレーダーサイトと呼ばれる重要な役割を持つEー2C早期警戒機も空母で運用することが可能なため、遠距離から近づく中国軍を早期に探知し攻撃に移行することができる。
中国の空母は、まだ早期警戒機を空母で運用する能力は持っていない。
このことからも艦対決戦においてはアメリカ軍に軍配が上がることは間違いない。
ただ、中国は切り札として「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイルDF-21Dの開発を行っており、実験は成功したと主張しているが、その性能は不明である。
空母の存在意義
現在では空母を保有する国は増えてきているがアメリカ海軍の空母はどの国も圧倒するほどの数と力を持っている。
空母を保有し運用できる軍隊は、その国の国力を表しているといっても過言でないほど重要な存在である。
現在、海上自衛隊は、ヘリ空母の「いずも」と「かが」の2隻を空母として使えるように改装中である。
「いずも」の改装工事は1期と2期に分かれており、いずもは1期工事が終了しアメリカ海兵隊のF-35Bによる発艦と着艦の飛行試験が行われた。
アメリカ海軍の空母打撃群は確かに強力ではあるが、その艦隊は世界各国に分散されて配置されており、横須賀を母港とするアメリカ第7艦隊の保有している空母は1隻のみである。
今後、中国がアメリカ空母に匹敵するような原子力空母を建造中でることを考えると決して安心できるような状況ではない。
今後も日本とアメリカは、よきパートナーとして今まで以上に相互に協力し合っていくことが必要となるであろう。
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