海上自衛隊の歴代DDH(ヘリ搭載護衛艦)を解説!【はるな、しらね、ひゅうが、いずも】
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海上自衛隊の護衛艦は海外でいう「駆逐艦」にあたり「Destroyer」に分類される。

日本では護衛というソフトな言い回しになっているが、

護衛艦の艦種はそれぞれ、このようになっている。

海自の艦種

DD(Destroyer:護衛艦)

DDH(Helicopter Destroyer:ヘリコプター搭載護衛艦)

DDG(Guided Missile Destroyer:ミサイル護衛艦)

DE(Destroyer Escort:護衛駆逐艦)

その中でも、多くのヘリコプターを搭載でき、その航空運用能力を活かして広いエリアにおける対潜戦、水上戦のサポートや災害派遣における救助や物資の運搬などでも活躍している。

また、司令部機能も高く、各護衛隊群のボスである旗艦となるのがDDHである。

今回は、歴代のDDHから現在の「いずも型」まで8の隻について、その任務や特徴を解説していこう。

しまかぜ

「はるな型」から「いずも型」までの進化や違いを動画でも解説してるよ!

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DDH141はるな、DDH142ひえい

はるな型護衛艦は、日本初となる海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)として、配備されていた艦艇である。

「はるな」が就航した1973年から2番艦の「ひえい」が退役する2011年まで長い間、海自のヘリコプター護衛艦として第一線で活躍してきた。

「はるな」は第三護衛隊群の旗艦、「ひえい」は第四護衛隊群の旗艦として、それぞれ7隻の護衛艦を率いて指揮をとっていた。

基準排水量は就航当時、4,700トンであったが、FRAM(フラム)と呼ばれる大規模な近代化改修計画によって、戦術情報処理装置の追加と各種レーダーやセンサーの換装が行われた結果

DDH141「はるな」が4,950トン、DDH142の「ひえい」が5,050トンに大型化された。

サイズは、全長153.0 m、全幅17.5m、速力は31ノット、乗員は370名である。

動力は蒸気タービンを搭載し、70,000馬力を発揮、主要兵装はこのようになっている。

はるな型は太平洋戦争中の軽巡洋艦に匹敵するサイズで、当時はかなり大型の艦船であった。

はるな型のスペック。

全長:153.0 m、全幅:17.5m
速力:31ノット
乗員370名
蒸気タービン:70,000馬力
兵装:73式54口径5インチ単装速射砲×2基
高性能20mm機関砲(CIWS)×2基
シースパロー短SAM 8連装×1基
74式アスロックSUM 8連装×1基
3連装短魚雷発射管×2基

搭載ヘリコプターは改修前までは、三菱-シコルスキー S61を3機搭載可能であり、改修後は、次世代となるSH-60Jを3機搭載可能となった。

護衛隊群の旗艦として活躍していた艦歴を持つ艦船のため、指揮能力も有する護衛艦として長く海上自衛隊で活躍していた型式である。

現代の護衛艦では見ることのできない主砲が前甲板に2門装備されている見た目も非常勇敢である。

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 DDH143しらね、DDH144くらま

しらね型護衛艦は、はるな型護衛艦の次世代型として配備されたヘリコプター搭載護衛艦の後継に当たる艦艇である。

1980年にネームシップのしらねが就航し、2017年に2番艦のくらまが退役するまでの間、部隊の旗艦として運用が行われていた。

「しらね」は第一護衛隊群の旗艦、「くらま」は第二護衛隊群の旗艦として、それぞれ7隻の護衛艦を率いて指揮をとっていた。

基準排水量は5,200トン、全長は159.0m、全幅は17.5mで、これは前級のはるな型護衛艦よりも全長で6m延長されており、就航当時海上自衛隊で最大の護衛艦であった。

速力は最大32ノット(約60㎞)を出すことができ、高速化が図られているのが特徴である。

しらね型のスペック

全長:159.0m、全幅:17.5m
基準排水量:5,200トン
速力:最大32ノット(約60㎞)
乗員350名
蒸気タービン:70,000馬力
兵装:73式54口径5インチ単装速射砲×2基
高性能20mm機関砲(CIWS)×2基
シースパロー短SAM3型 8連装×1基
74式アスロックSUM 8連装×1基
3連装短魚雷発射管×2基

運用に必要な乗員は350名(くらま360名)と10名削減されており、若干であるが少人数での運用が可能になっていた。

動力は、同様の蒸気タービンで兵装も「はるな型」に準ずるものになっており、主砲、近接防御武器、アスロックミサイルは踏襲されているものの、対空ミサイル「シースパロー」は3型に変更されている。

艦載機もはるなと同様に哨戒ヘリコプター3機を搭載できる。

前級から大幅に変更された点として部隊対潜戦指揮支援機能が強化され防空能力の増強が挙げられる。

OYQ-3と呼ばれる部隊対潜戦指揮支援機能を有するシステムと海軍戦術情報システム(NTDS)への全面的な対応によって、海上自衛隊初のシステム艦の異名を持っているのが特徴である。

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DDH181ひゅうが、DDH182いせ

ひゅうが型護衛艦は、しらね型の後継護衛艦として開発された艦艇であるが、従来までのDDHとは全く違った、いわゆる空母型をしているのが特徴である。

基準排水量も13,950トンと大型化し、「しらね型」の2.5倍まで拡張されている。

全長197.0m、全幅33.0mと、全幅においても倍の広さに拡張されている。

船体は巨大化したものの、運用に必要な乗員は340~360名に据え置かれていることから、システム化により効率の良い運用が行われている。

また、動力も「ひゅうが型」からガスタービンになっており大幅な変更を行っている点も注目である。

就役は2009年で、現在「ひゅうが」は第三護衛隊群の旗艦、「いせ」は第二護衛隊群の旗艦として運用されている。

兵装は従来のしらね型の特徴であった2門の主砲が廃止されており、近接防御武器のCIWS×2基、従来のシースパローやアスロックが垂直発射システムVLS×16発に進化している。

現代は主砲で撃ち合うような戦闘になることは、まず考えらえないため、甲板を広くするための主砲の廃止は合理的であるといえる。

ひゅうが型のスペック

全長:197m、全幅:33m
基準排水量:13,950トン
速力:最大30ノット(約55㎞)
搭載能力:最大11機
乗員340名
ガスタービン:100,000馬力
兵装:20mm機関砲(CIWS)×2基
12.7ミリ単装機関銃用×7基
3連装短魚雷発射管×2基
MK41 VLS×16セル

このように、大幅な変更を行っている「ひゅうが型」であるが、最大の変更点は甲板を空母のように全通型にしたことである。

これにより、従来のDDHとは全く異なった外見となり、同時に高い航空運用能力をもつこととなった。

全通甲板を採用したことで艦載機もSH-60J/KやMCH-101など、最大11機もの運用が可能になっている。

そして、従来のDDHにはできなかった3機同時発着も可能になった点も大きな特徴である。

従来のへりの運用は補助的な印象があったDDHであるが、ひゅうが型の登場により艦載機の運用を中心に作戦行動が行える艦艇へと進化した。

また、大型の船体と航空運用能力を活かして、国内外の災害派遣などでも活躍しており、被災地への救助や物資の運搬を行った経歴もある。

DDH183いずも、DDH184かが

いずも型護衛艦はひゅうが型の発展型として建造され、海上自衛隊最大の護衛艦である。

2015年に就役し、現在「いずも」は第一護衛隊群の旗艦、「かが」は第四護衛隊群の旗艦として運用されている。

基準排水量は19,500トンであり、はるな型から比べると実に約3倍強、全長は248mと1.5倍、全幅は38mと倍以上になっている。

装備もひゅうが型より簡素化され、主要な兵装は20mm機関砲(CIWS) × 2基とSeaRAM ×2基の近接防御武器のみとなっており、ミサイルは装備していない。

いずも型のスペック

全長:248m、全幅:38m
基準排水量:19,500トン
速力:最大30ノット(約55㎞)
搭載能力:最大14機
乗員470名
ガスタービン:112,000馬力
兵装:20mm機関砲(CIWS)×2基
SeaRAM×2基

 

CIWSの発展型であるSeaRAMを装備するのは海自では「いずも」と「かが」のみであり、敵ミサイルを迎撃するための小型ミサイルが11発装てんされている。

発射したあとは敵ミサイルが発している電波を検知し自動で追尾するため、いわゆる「撃ちっぱなし」が可能である。

また、魚雷のかわりにOLQ-1と呼ばれる敵魚雷から身を守る防御装置に変更されるなど、戦闘艦艇として攻撃力は低下してる。

しかし、最大の特徴はひゅうが型と同様の全通甲板を有していることである。

これによって最大14機もの艦載機を搭載可能となり、5機の同時発着艦もできる広大な飛行甲板を有している。

現在は、第五世代ステルス戦闘機F-35Bを搭載するために飛行甲板の耐熱処理や飛行甲板の拡大、区画整備など2025年の空母化に向けて大規模改修中である。

海上自衛隊の歴代DDH まとめ

海上自衛隊のDDHは、その構想が始まった当初、主に全方位に攻撃力と若干のヘリ運用能力を有する軽巡洋艦であった。

また、速力も意識しアメリカ海軍の駆逐艦をイメージした護衛艦として開発されていた経緯がある。

しかし、いずも型の前級であるひゅうが型から、その性格が大幅に変わった。

従来、攻撃力を有する護衛艦としての機能をイージス艦などに振り分けることに方針転換。

自身はヘリ運用能力を前面に押し出した、ヘリ空母としての性格を帯びた護衛艦として設計されるに至ったのだ。

現在運用されているDDH、ひゅうが型、いずも型はいずれも速射砲や魚雷管を撤廃。ファランクスや魚雷防御装置など最低限の防衛力に変更されている。

このように時代の要求に応じて、大幅な仕様変更を行っているのが、海上自衛隊のDDHである。

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