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令和2年11月19日、三井造船で海上自衛隊の新型護衛艦FFM「くまの」が進水した。
遅れて令和3年3月3日、長崎三菱造船所で1番艦の「もがみ」が進水した。
フリゲートを表すFFに多用途を意味するMultiのMと機雷(Mine)のMを掛け合わせてFFMという艦種になる。
FFMはフリゲートという艦種になり、時代や国によってフリゲートの定義は異なっている。
もがみは、これまでの護衛艦とはまったく違ったコンセプトで計画、建造されており、海上自衛隊で初の試みとなる艦艇である。
今回は、最新護衛艦「もがみ」「くまの」の全貌と、海自初となる装備や無人機による作戦などについて解説していこう。
新型護衛艦FFM「もがみ」「くまの」の解説動画も最後に見てね!
最新護衛艦 FFM「もがみ」「くまの」の性能
護衛艦「もがみ型」のスペックはこのようになっている。
・全長132.5m、幅16.3m
・基準排水量3900トン
・出力70000馬力
・最高速力30ノット(約56km)
・乗員90名
・兵装:127mm砲、垂直発射装置VLS(後日装備)
艦対艦ミサイル SSM-2(8発)、3連装単魚雷×2
Sea RAM、機雷敷設裝置
もがみは、近年増大している中国船による領海への侵入に対する警戒監視をはじめ、有事の際の対空、対潜、対水上戦にも対処できるのは、もちろんのこと、さらに今まで掃海艇が任務をおこなっていた、機雷掃海までも行う能力がある最新護衛艦である。
従来の護衛艦は5000トン以上のサイズが標準であったが、FFMは3900トンとコンパクトになり、乗員も200名前後から90名とかなり少なくなっている反面、多くの任務に対応できるようになっている。
また、海上自衛隊では初のクルー制を用いる予定であり、母港に入港したあとは、乗員を全て交代させることで、長期間の任務にも対応できるようになる。
また、護衛艦は通常、出港時や入港時は速力を落とすため、水の抵抗がなくなり舵の効きが悪くなる。そのため曳船と呼ばれるタグボートで船体を押したり引いたりしながら支援してもらいながら岸壁に離着する。
しかし、くまのは艦首の水線下にバウスラスターと呼ばれる小さなスクリューが装備されており、横向きの移動も可能となっている。
そのため、タグボートの支援がなくとも出入港が可能となった。
センサー類は艦橋上部に光学複合センサーOAX-3(スリー)が装備されており、これにより、赤外線、可視光、レーザーにより監視、識別、距離測定、主砲の管制も行うことができる。
また、煙突横の船体には RHIB(リブ)と呼ばれる、小型高速ボートが格納されており、ステルス性を保つために通常は隔壁内に納められているが、必要時に隔壁が開きリブを海面に降ろすことができる。
後部の格納庫には、哨戒ヘリコプター1 機搭載することができ、艦艇のレーダーでは届かない遠距離の敵艦艇を高高度で探知したり、水中にソーナーと呼ばれるセンサーを降ろし潜水艦を探知するなど、広い範囲の哨戒をカバーできる。
敵からの攻撃に対しては Sea RAM(シーラム)と呼ばれる対艦ミサイル防御装置が装備されており、敵ミサイルを迎撃して身を守ることができる。
FFMのステルス性
近年、各国海軍のステルス性は向上しており、海上自衛隊についてもステルス性については研究を続けている。
ステルスとは、敵のレーダーに探知されないように計算された形状や特殊な塗料を施した船体や機体のことをいう。
アメリカ海軍ではズムウォルトというステルス艦が建造されており、船体は 180m以上あるにもかかわらず、レーダー画像は15mほどの船舶と同じサイズになる。
くまのもレーダー反射面積を局限まで小さくするために、船体は特殊な形状をしている。
また、従来の護衛艦のように錨は見える状態ではなく船体内に格納されている、先ほど解説した小型高速ボートについても隔壁内に収まっている。
さらに、レーダー反射の影響が大きかった対艦ミサイルや左右舷の通路についても、外側からは視認できず、すべて船体構造で覆われている。
マストについても、多くの通信機器やレーダーがついていた従来の護衛艦と比較すると、シンプルな形状になっており、内部に機器が複合化されたマストに変更されている。
ステルス性を保つには、なるべくデコボコな面や垂直な面を少なくすることが効果的であり、そのため、ステルス性の高い艦艇や航空機は独特な形状になるのだ。
ステルス性が高ければ高いほど、遠距離でのレーダー探知が困難となり、ミサイル攻撃を受けるリスクが小さくなる。
FFM「もがみ型」の新しいコンセプト
FFMは、今までの海上自衛隊の護衛艦とはまったく違ったコンセプトとなった。
艦橋の窓も、従来の護衛艦と違い、横長の強化ガラスが採用されたことにより、視認性が向上しており、艦橋内部については航法用レーダー、電子海図、自動識別システム、自動操縦など航海指揮官、操舵員、レーダー員の3名で運用できるように商船仕様となった。
護衛艦の中枢といわれる CIC(コンバットインフォメーションセンター)では、オペレーターが操作するコンソールが円形上に配置され、周囲には 360°のビデオウォールと呼ばれるディスプレイが取り囲んでおり、戦闘状況などを表示することができる。
艦長や哨戒長などの指揮艦は中央の席に座り、ビデオウォールを見ながら命令を出す。
前方は操舵コンソールとなっており、ビデオウォールには、カメラによって撮影された映像を写しだすことで、まるで艦橋の窓から外を見ながら操舵するのと同じような感覚で操縦が可能である。
3名という省人化された艦橋の航行補佐を CIC で行えるメリットもある。
FFMでは、省人化に伴い、ダメージコントロールにおいても大きく変化した。
ダメージコントロールとは、艦艇で火災や浸水が発生したときに、それを食い止めるための任務である。
従来の護衛艦では、応急班と呼ばれるグループが船体の前部、中部、後部に配置されており、火災や浸水が発生した場合は、迅速に処置することで被害を食い止める役目を果たしていた。
しかし、FFMは90名という少ない乗員のため、各部にセンサーとビデオカメラが設置されており、仮に火災が発生した場合は、各所のセンサーが探知し、CIC からの遠隔操作で消化装置を発動し被害を食い止める仕組みとなっている。
エンジンにおいても、主流となっているガスタービンのみでなく、ディーゼルエンジンを組み合わせることで、燃費性能を向上させている。
前方にガスタービン1基、後方にディーゼル 2基を配置しており、高速航行時にはこの2種類を組み合わせる CODAG(コダゴ)形式を採用しており、これは海上自衛隊では初となる。
通常の作戦ではディーゼルのみで走ることで燃料の消費を抑え、戦闘時や緊急時にはガスタービンによる高速航行が可能になるメリットがある。
くまのは通常の護衛艦と違い、水中に仕掛けられた機雷を除去することもできるが、その任務で活躍するのが無人機である。
FFMもがみ型に搭載された無人機
FFM では無人機が搭載されているのも、今までと大きな違いである。
水中無人機:UUM
水上無人機: USV
無人機雷排除システム: EMD
の3種類の無人機を搭載している。
水中無人機 UUM は水中に潜航し、高性能探知機により設置された機雷を捜索、機雷設置ポイントが判明したならば、水上無人機:USV の出番だ。
「くまの」の艦尾に開口部があり、その中に水上無人機:USV が格納されている
USV は海面に送られたあと、自動誘導により操縦され作戦海面に進出する。
その後、無人機雷排除システムEMDを投入して、センサーにより水中の機雷を探知し、その画像を送信する。
「くまの」の管制員はテレビモニターで機雷を確認したのち、手動で近接させ処分する。
FFMの今後
FFMは今後 22 隻までの建造が予定されており、海上自衛隊では最も建造数の多いタイプとなる。
対空、対潜、対水上戦に加え、無人機による機雷掃海の任務も可能となった。
乗員も今までの護衛艦の半分以下の人数で運用可能となり、さらにクルー制を採用することで、連続した任務にも対応できるようになる。
FFM は建造時のスペックで留まらず、アップデートにより能力が向上されていく予定である。
海上自衛隊の新しい世代とコンセプトの護衛艦がいよいよ活躍する日が近くなってきた。
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