トップガンの真実!わずか22日で資格はく奪!年間5000 回の離着陸訓練
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これは、硫黄島の滑走路を空母甲板に見立た戦闘機の離着陸訓練である。

誰よりも空の厳しさと美しさを知る空母艦載機のパイロット達。

そんなパイロット達の活躍を描いた映画「トップガン」 は世界中の戦闘機ファンを魅了した。

しかし、現実の世界の空母パイロットたちは想像以上の過酷な訓練を行っている。

今回はアメリカ海軍の空母艦載機のパイロットたちの厳しい訓練内容や編成、 また航空機の世界で最も難しいとされる空母への発着艦方法などについて解説していこう。

しまかぜ

迫力の飛行シーンを動画でも見てね!

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22日で資格をはく奪される空母艦載機のパイロット

アメリカ海軍の空母艦載機のパイロットは22日以上、一度も空母に着艦しなければ資格を剥奪されるという厳しい規則がある。

何らかの理由により資格を失ったパイロットは通常の飛行場を空母に見立てた陸上空母着艦訓練場において、 再度資格を取るための訓練を行う。

この訓練では滑走路に着陸して、すぐに飛び立つ 「タッチ&ゴー」 という訓練を日中に10回ほど行い、夜間においても同様の訓練を3回程度行う。

これらの訓練を合計 5000回以上繰り返し、 訓練終了後10日以内に実際の空母において着艦資格審査を受けることとなる。

この審査で失格したパイロットは、 陸上着艦訓練場にもどされ訓練を続けることとなる。

なぜ、そこまで厳しい訓練を行うのだろうか?

陸上滑走路の場合、もし着陸に失敗した場合、 ほとんどが自機のみの被害で納まるが、空母で着艦に失敗すると、自機だけでなく空母の損傷や他の搭載機に大規模な被害が及ぶからである。

そのため、空母パイロットは資格審査までに数千回にも及ぶ訓練を行い、正確かつ確実に狙ったポイントに着艦できるまで技量を高める必要がある。

着艦審査に合格したパイロットは、空母で航海に出た後、基礎的な飛行訓練からスタートする。

空母では陸上の滑走路よりはるかに短い距離で飛びたち着艦しなければならない。

発艦時はカタパルトの力で2秒で300kmまで加速して、そのまま空母の甲板から射出され、決められた飛行ルートをフライトしたのち、 空母に着艦する訓練を行う。

空母に着艦する際は、甲板上に張られた3本のアレスティングワイヤーのいずれかに機体の後部に装備されたフックを下ろして引っ掛けて強制的に停止する。

ただし、 甲板にタイヤがタッチした瞬間にスロットルを倒して、 エンジン出力を全開にする。

なぜ、 着艦するのにエンジンを停止ではなく全開にするのだろうか?

その理由は、もしフックがどのワイヤーにも引っかからなかった場合、 停止することができず、そのまま飛行甲板から海に転落してしまうからである。

エンジン出力を全開することで、そのまま飛び立つことができる速力を保持するためである。

空母への離着陸など基礎的な訓練を終えたならば、より実戦に近い訓練に移行する。

仮想敵との戦闘訓練や実弾発射を交えたフライトなど、よりリアルに近い応用訓練だ。

アメリカ海軍の航空部隊は、ベトナム戦争時の航空戦での困難さに直面し、その結果として1969年に“トップガン”と呼ばれる海軍戦闘機兵器学校を開校した。

「トップガン」は、アメリカ海軍のエリート戦闘機パイロットを育成するためのプログラムであり、実際の戦闘に極めて近い状況での訓練に重点を置いており、戦闘機パイロットたちは空中戦術や敵の戦闘機の性能について徹底的に教え込まれる。

それが火付け役となり、アドバーサリー部隊が組織された。

これらの部隊は仮想敵の任務に派遣され、まるで実際の戦闘を再現するような訓練が行われるのである。

このような歴史の流れを見てみると、アメリカ海軍がベトナム戦争の経験から学んだ重要な教訓が見えてくる。

それは、”現実の戦闘を再現するためには、リアルな敵の能力を持つ航空機で訓練することが極めて重要だ”ということだ。

また、作戦行動中はいつ出動命令がかかるか分からないため、航海中は母港に戻るまでの間、訓練を重ねることで技量を維持している。

母港に戻ったならば、 パイロットたちは休暇でリフレッシュしたのち、 次の航海に備えて陸上訓練場にて飛行訓練を繰り返すのである。

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空母航空団の編成と機体の種類

空母に搭載する飛行隊は太平洋艦隊に5個、 大西洋艦隊に5個の合計10個となっている。

空母の数は 11 隻であるが、常に1隻は核燃料交換のオーバーホールのため約3年半という長期にわたり造船所にドック入りしているため、10個となっている。

空母航空団の編成は以下のようになっている。

空母航空団

戦闘攻撃機 F/A-18C, F/A-18E/F
電子攻撃機 EA-18
早期警戒機 E-2C
対潜ヘリコプター MH-60
輸送機 C-2A

2021年からはステルス戦闘機F-35Cの搭載も始まっており、 将来的には X-47 や給油機MQ-25 など無人機をベースとした艦載機も配備される予定である。

このように空母航空団は各種航空機が集まり、空母はあらゆる任務に対応するため、 これらの航空機を作戦エリアまで運搬し燃料や弾薬を補給するための洋上基地の役目を担っている。

数ある艦隊の中でも、もっとも広いエリアを担当する第7艦隊の空母「ロナルド・レーガン」は横須賀基地を母港としており、搭載する第5航空団のF/A-18 は岩国基地で待機し航海に出る際に搭載する。

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空母の航空管制と発艦作業

空母には艦橋後方の飛行甲板を見渡せる場所に航空管制を行う場所がある。

飛行甲板が安全に使用できる状態にあるか、 風向風速の確認、艦載機の発着艦の順番などを管理する責任者が管制を指揮している。

通常、空母は向かい風の状態で航空機を発艦させるため、 風速や風向が発艦に適した状態になるように管制官から艦長に報告して針路や速力を変えてもらうこと
ができる。

艦載機は駐機位置から動きだすと、 無線による通信は行わず、 甲板上の誘導員からハンドシグナルで指示をうけつつカタパルトに向かう。

位置の微調整のため 「少し前に進め」 や発艦前の確認のため 「尾翼を動かせ」 などの指示も誘導員からハンドシグナルで合図される。

全ての準備が整った時点で、 射出士官シューターがパイロットに対して敬礼を行ったのち、 進行方向に対して手を伸ばし発艦のポーズをとる。

これを確認したデッキ・エッジ・オペレーターと呼ばれる操作員がカタパルトのスイッチを押して艦載機を射出する。

無事に飛行状態に入ったならば、 パイロットは射出時の衝撃により機体に異常がないか計器や動きで確認を行い、管制官に報告する。

空母から飛び立った航空機は約60マイル (約110km) の範囲が空母の航空管制下となり、指示を受けるために通信を行う。

それ以上離れて作戦空域に進出する場合は、 空飛ぶレーダーサイトといわれる早期警戒機による管制下で飛行することとなる。

その後、 パイロットは空母の管制官や早期警戒機からの指示により高度やコースを維持して攻撃目標まで向かうのである。

至難の技!空母への着艦方法

作戦空域から空母へ帰ってくる際も、早期警戒機により指示をうけながら飛行する。

空母のマスト上部に TACAN (タカン) と呼ばれる電波発信機があり、 それを頼りにパイロットは空母の位置を知ることができる。

一度に多くの艦載機が戻ってくる場合、 管制官の指示により上空待機をすることがあり、作戦や天候状況によっては着艦まで時間がかかることもある。

そのため、待機エリアには空中給油機が飛行しており、 残燃料が少ない機体に対して燃料補給をする場合もある。

アメリカでは現在、無人給油機が運用されており、詳細について他の動画で解説している。

着艦許可が出たパイロットは空母の後方約 1.2km手前から LSO と呼ばれる着艦誘導員の指示を受けつつ低速で近接する。

LSO は機体の向きや高度など着艦のための指示をパイロットに出し、正しい位置をシグナルライトで知らせる。

イエローとレッドが高度、 ブルーが左右のズレを示しており、パイロットはシグナルライトが正しく見える位置に機体を微調整して、最後はコックピットの計器や
甲板を見ずにシグナルライトだけを頼りに着艦する。

正しい降下ができれば、甲板に張られているアレスティングワイヤーにフックが引っかかり停止することができる。

なお F/A-18 であれば、 パイロットの異常や精神状態によって正常に着艦できないと判断した場合に、自動着艦装置により空母に着艦させることができるようになっている。

抜群の操縦技術を持ち、 厳しい訓練に耐える艦載機のパイロットたち。

そして、彼らを安全かつ効率的に運用するために働くクルーたち。

今日もこの瞬間どこかの空母では厳しい訓練が行われている。

次の動画では空母の飛行甲板の秘密に迫り、艦載機を効率的に運用するための装置やその仕組みについて解説していこう。

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