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ヨーロッパ最強の戦闘機ユーロファイター。
欧州4大国が集結し、一機の戦闘機にすべてを注ぎ込んで完成したのが、ユーロファイターである。
この驚異的な戦闘機の背後には、どのような秘密が隠されているのだろうか?
ユーロファイターは4.5世代戦闘機とされ、航空自衛隊のF-4ファントムが退役したあとの後継機候補にも挙がった機体でもある。
今回はユーロファイターがなぜ”最強”と称されるのか、開発の経緯やヘルメットの驚異の機能、またアメリカの戦闘機にはない特徴や魅力について解説していこう。
この内容は動画でも見れるよ!
4カ国によるユーロファイタープログラム開始
ユーロファイター開発の経緯としては、1970年代、ヨーロッパの主力戦闘機であったイギリス、フランスのジャギュア、ドイツのF-104Gイギリスのハリアーなどの後継機が必要になったことである。
ユーロファイターの開発費は当時180億ユーロ(約3兆9000億円)とされており1国で負担できる額ではなかった。
そこで、イギリスとドイツが協定を結び、後にフランスも加わり共同開発を進めていくこととなった。
しかし、フランスは空母艦載機も必要としていたことから機体の小型化を主張し、さらに自国製のエンジンを搭載することに固執したため、この協定から離脱し、独自でラファール戦闘機の開発に乗り出すことになった。
最終的にはイタリアとスペインが加わり4カ国でユーロファイタープログラムが進められたのである。
性能面においては、どの国の要求も満たせる必要があることから、担当は以下のようになった。
機体:ユーロファイター社
エンジン:ユーロジェット社
レーダー:ユーロレーダー
センサー:ユーロファースト
ユーロファイターは各企業が担当し、各国が分担して開発を進めていった。
次世代戦闘機に必要な高い能力を備えるため空対空、空対地ミッションはもちろん、対艦攻撃能力も必要とする国の要望に応じて組み込めるように設計され、マッハ2を超える超音速能力が求められた。
各国の要望を全て満たすユーロファイターの機体のサイズは必然的に大きくならざるを得ず、その結果エンジンは双発となった。
ところで、ユーロファイターはタイフーンと呼ばれることもあるが、このニックネームは輸出向けの名称である。
タイフーンという名称は第二次世界大戦時にイギリスの戦闘機に使用されており、当時の戦争でドイツやイタリアは大きな被害を受けた。
そのような背景から4カ国のうちタイフーンを正式名称として使用しているのはイギリスのみである。
ユーロファイターのデルタ翼とカナード
ユーロファイターの翼は三角形のデルタ翼が特徴である。
主翼を三角形にして、水平安定板を装備しない機体を「無翼尾デルタ」と呼ぶ。
無翼尾機の研究は第二次世界大戦中のドイツで始まり、DM-1と呼ばれる機体が作られ実験が行われていた。
その後、ドイツ軍が敗戦して連合軍が入手したのが、このDM-1に関する資料であった。
それ以降、欧州では無翼尾デルタに関する研究が進められることとなった。
デルタ翼の特徴はあらゆる速度域で安定した飛行特性を維持し、旋回半径を小さくできるほか、着陸速度を遅くするといったメリットをもつ。
また、水平尾翼の代わりにカナードを有する機体であることも特徴の1つだ。
ユーロファイターのカナードは鳥などの衝突を考慮して頑丈なチタニウム合金を使用している。
当時、ヨーロッパの新型戦闘機に共通していたのが新しい飛行制御翼である「カナード翼」である。
運動性の向上に影響することが分かり研究が進められた。
アメリカにおいても当時F-15やF-16にカナードがつけられた試作機が作られ、日本においてもF-2(エフに)の完成予想図には空気取り入れ口下にカナード翼がついていた。
結果的にアメリカや日本はカナードを採用しなかったが、現在でもロシアのスホーイ30や中国のJ-20などカナードを採用する戦闘機は多い。
ただし、カナードはコックピット付近についていることからパイロットは前方斜めの視界がさえぎられたり、ステルス性が損なわれたりするといったデメリットもある。
ユーロファイターの搭載できる兵器の種類はアメリカ海軍のF/A-18スーパーホーネットを上回っており、全部で13箇所の搭載ステーションがあり、胴体下の1箇所のみ燃料の増槽タンク用で、その他は攻撃用兵器を搭載できる。
また、迎撃仕様時の離陸重量は16,000kgでF-15を上回っている。
GPS誘導爆弾、レーザー誘導爆弾、無誘導爆弾のほか、各種対空ミサイル、対地ミサイルなど非常に多種類の兵器を搭載できる。
ユーロファイターは4カ国が開発に携わっていることから、どの国も自国の兵装や機器を載せたいという要望により、必然的に兵装の種類が多くなっている。
一方、ユーロファイターの飛行性能は、最大速度がマッハ2でアフターバーナーを使用せずとも超音速を出せるスーパークルーズを有している。
離陸から高度10,500mまで上昇しマッハ1.5まで達する時間は約2分半で、上昇限度は約17,000mである。
戦闘行動半径は約1,400kmで加速力や上昇性能はアメリカのF-15とほぼ同等のパワーを有している。
ところで、F/A-18のように様々なミッションをこなせる戦闘機をマルチロール機と呼ぶが、ユーロファイターはスイングロール機と謳われている。
スイングとは「切り替え」、つまりある任務に出撃していて、作戦が変更されても基地に帰ることなく切り替えることができる戦闘機という意味である。
パイロットをモニターする最新ヘルメットと音声操作
イギリスのメーカーが開発したユーロファイターのヘルメットはバイザー部分に各種情報が映し出され、パイロットがどの方向を向いていても必要な情報を入手することが可能となっている。
機体の姿勢、飛行速度、敵や味方の位置などが表示され、夜間においてもバイザーに赤外線画像が表示されるため昼夜を問わずミッションを遂行できる。
このヘルメットには多くの突起がみられるが、この中には発光ダイオードが収められていて、頭の動きをコックピット内の受信機が感知してパイロットが見ている方向を把握する仕組みになっている。
攻撃の際はパイロットが向いた方向の敵戦闘機を目視でロックオンして、そのままミサイルを発射できることから攻撃範囲の拡大を実現した。
多機能なヘルメットはそれだけ重量も重くなることが予想されるが、ユーロファイターのヘルメットは約2kgと軽量である。
なぜなら、パイロットは常に高いGに耐えながら操縦している。Gとは旋回時にかかる遠心力のことで、ユーロファイターは9Gもの機動飛行が可能で、この時、パイロットは2kgの9倍にあたる18kgのヘルメットをかぶっている計算になる。
仮にヘルメットが3kgであれば27kgもの重さになり、パイロットの首が耐えられなくなるのだ。
そのため、ユーロファイターのヘルメットは炭素繊維製で軽量化され、多機能にもかかわらず2kgという重さに仕上がっている。
一方で、ユーロファイターはパイロットの声で操作できるDVIと呼ばれる機能がある。
あらかじめパイロットの音声をシステムに記録し、そのカートリッジを機体に入れることで音声操作することができる。
人間の音声を認識するため、別のパイロットの音声には反応しない仕組みになっている。
言葉と操作が連動しているので、日本語でも登録することが可能である。
音声操作機能は現在ユーロファイターだけが備えた特殊な機能である。
このようにユーロファイターはアメリカの戦闘機にはない機能や魅力をもつ戦闘機である。
次の動画では、日本に初来日したユーロファイターとフランスが開発したラファールとの違いについて解説しよう。
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