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自衛隊は、長らく議論の対象となってきた「反撃能力」をついに保有することとなった。
防衛省は、南西諸島の防衛力強化を目的として、沖縄本島にある陸上自衛隊、勝連分屯地に「12式地対艦ミサイル」部隊を配備した。
射程は従来の200kmから1500kmへ大幅延長し、敵のミサイル発射基地も攻撃可能になった。
新たなステルス形状でレーダー回避能力も強化。
ウクライナへの供与要望が出るほどの評価を受けるこのミサイルが、東アジアの安全保障に大きな影響を与えることは間違いない
今回は、日本が配備する新型ミサイルの抑止力と開発が急がれる理由について解説していこう。
この記事に書かれている内容は
【実戦配備へ】12式地対艦誘導弾の全貌!驚異の射程1500kmの秘密
12式地対艦誘導弾は、陸上自衛隊に配備されている国産の誘導ミサイルだ。
このミサイルは、あらかじめプログラムされたコースに従い、山などの障害物を避けながら進み、海上では低高度を飛行して目標に命中する設計となっている。
米国でも高い評価を受けており、「日本は12式地対艦誘導弾をウクライナに供与せよ」との要望が出ているほどだ。
全長はブースターを含めて9メートル、胴体径は1メートル、翼幅は4メートルとなっており、エンジンは川崎重工の航空宇宙システムカンパニーが試作中のKJ300ターボファンを採用している。
このミサイルの能力向上型は、射程を大幅に延長するために設計されている。
従来型の円筒形デザインから、ステルス性を向上させた角張った形状に変更され、機体も大型化されている。
この改良により、射程は従来の200kmから1500kmにまで伸び、相手のミサイル発射基地なども攻撃可能になる。
12式地対艦誘導弾の能力向上型が配備されると、沖縄本島から射程1,500kmの範囲に韓国全土、北朝鮮の大半、中国の東シナ海沿岸地域が含まれる。
これにより、相当な抑止力が期待できる。
この新型ミサイルの導入により、自衛隊はその防衛能力を大幅に強化するだけでなく、戦略的な抑止力も高めることが期待されている。
「12式地対艦誘導弾」の能力向上型は、従来の12式とは全く異なる次世代のミサイルとなっている。
この新型ミサイルはステルス形状化によってレーダー反射断面積を減少させ、迎撃突破率を向上させた。
ただし速度は音速よりも遅い「亜音速」での飛行が基本となるため、射程の延長に伴い着弾までに時間がかかるが、衛星利用の“誘導弾データリンク”で移動目標を正確に追尾できるようになっている。
さらに、地上発射型だけでなく艦上発射型や航空機発射型の開発も進められており、「マルチプラットフォーム化」が実現される見込みだ。
この巡航ミサイルは、遠回りしながら敵が予想しない方向から奇襲を仕掛ける戦術が特徴だ。
そのため、最大射程をそのまま有効射程として使用することは少なく、例え最大射程が1500kmであっても、実際の有効射程はもっと短くなることが多い。
このミサイルを扱う陸上自衛隊の第7地対艦ミサイル連隊は宮古島や石垣島の駐屯地に配置されたミサイル部隊を指揮統制する役割を持つ。
2024年度までには、各300人規模の地対艦ミサイル部隊を大分県と沖縄県にそれぞれ新設する計画が進行中だ。
「12式地対艦ミサイル」は、将来的に射程の延長を図り、相手のミサイル発射基地などを攻撃可能とする改良が検討されている。
この改良により、自衛隊は実質的な「反撃能力」を持つこととなり、地域の安全保障環境に大きな変化をもたらす可能性がある。
防衛省は、相手のミサイル発射基地などを攻撃できる「反撃能力」を持つ12式地対艦誘導弾の改良型について、配備予定を2026年度から前倒しすることに決定した。
【緊張高まる】中国の脅威に備える12式地対艦ミサイル
この背景には、中国の海洋進出の強まりがある。
中国海軍の空母「遼寧」は沖縄南方の太平洋で艦載機の発着艦を繰り返し、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を南下する艦艇も増えている。
台有事の際には先島諸島が巻き込まれる恐れもあり、沖縄では自衛隊の重点配備を進める「南西シフト」が着々と進行している。
さらに、中国は約1900発の中距離弾道ミサイルと約300発の巡航ミサイルを保有し、音速の5倍以上で飛ぶ極超音速ミサイルで迎撃困難な戦力体系も整えつつある。
この状況に対処するため、日本は12式地対艦誘導弾の能力向上型を前倒しで配備し、日本の防衛力を強化している。
敵の航空基地やミサイル発射場を使用不能にしたり、地上に駐機中の敵機を破壊することは、飛行中の航空機を排除することと同様に重要だ。
このため、日本は侵攻する相手の脅威圏外から火力を発揮し、撃破するとともに、自国の守備部隊を掩護する能力を持つスタンド・オフ・ミサイルの開発に力を入れている。
また、1998年、北朝鮮が日本列島を飛び越える形で弾道ミサイル「テポドン」を発射したことを契機に、2000年代に入ると反撃能力が現実の政策課題として浮上した。
その後も北朝鮮はミサイル発射と核実験を繰り返し、複数のミサイルを同時に着弾させる「飽和攻撃」を示唆する発射方法を取るようになり、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することが難しくなってきた。
反撃能力は相手の弾道ミサイル攻撃などを防ぐための長射程の自衛的措置であり、行使可能となる要件は従来の自衛隊の武力行使と変わらない。
標的は必要最小限度、すなわち相手国の軍事施設や兵器に限るという考えだ。
そのために必要となってくるのが、12式地対艦誘導弾能力向上型だ。
反撃能力の行使は、米国大統領が持つ「核のボタン」のようなイメージではない。
対処方針を国会が承認した後は、火砲や魚雷の発射と同じように、自衛隊が戦術上の実務判断として行うことになる。
さらに、「反撃能力」には、アメリカから購入する巡航ミサイル「トマホーク」も含まれている。
総計400発のうち200発は、2025年度から配備される予定だ。
【射程3000キロ】極超音速誘導弾の開発で中国本土を射程内に
国産ミサイルの開発も進行中だ。
2028年度には、島嶼防衛用の「高速滑空弾」の納入が見込まれている。
将来的には、射程を約1000キロに延ばし、中国本土をもカバーする「反撃能力」として活用する計画だ。
さらに2030年代前半を目指して射程3000キロの「極超音速誘導弾」の開発も進められている。
これまで、自衛隊はこうした長射程ミサイルを運用してこなかった。
しかし、北朝鮮や中国のミサイル発射装置や、護衛艦艇など厳重に守られた重要目標に対する脅威を考慮すると、距離を保ちながら安全に攻撃するために長射程ミサイルが必要と判断した。
反撃能力は北朝鮮の弾道ミサイル攻撃への対処を主眼に置いているが、中国の航空基地に対する対応も視野に入れている。
この反撃能力は、憲法9条の下で長年タブー視されてきた防衛力であり、保有することで自衛隊は大きな力を手に入れた。
ただし、その力が抑止力として機能するためには、有事における行使の選択肢が揺るぎないものである必要がある。
この議論は、1956年の国会答弁にまでさかのぼる。
その答弁では、ミサイル攻撃などによる国土の侵害が行われた場合、「座して自滅を待つべし」というのが憲法の趣旨とはどうしても考えられないとし、他に自衛の手段がない場合に限り、ミサイルなどで敵の基地を攻撃することは自衛の範囲に含まれるとされた。
この答弁を受け、政府は一貫して「反撃能力は憲法上保有可能だが、政策判断として保有しない」という立場を維持してきた。
日米同盟の文脈では、自衛隊は防御の「盾」に徹し、打撃力の「矛」は米軍が担うことで抑止力を機能させてきた。
しかし、最近の脅威に対する認識の変化により、日本も攻撃能力を持つべきとの声が強まり、反撃能力の保有に賛成する意見が6割を超える状況となっている。
反撃能力を持つことは、北朝鮮や中国のミサイル攻撃に対する効果的な対処手段であり、自衛隊の防衛力を強化する一方で、日本が積極的に防衛を行う姿勢を示すことで相手に対する抑止力としても機能する。
反撃能力を憲法9条や専守防衛からの逸脱とみなす批判は、現状の安全保障環境を考えると説得力を持たないだろう。
世論の受け止め方も変わり、反撃能力保有に肯定的な回答は62%、否定的な回答は35%と、賛否が数年前と比較して逆転している。
しかし、全てが賛成というわけではない。
分屯地の外では配備に反対する市民グループが80人以上集まり、「ミサイルNO」と書かれたプラカードを掲げて抗議している。
また、沖縄県の玉城知事は「反撃能力」を有する装備の配備に反対の意向を示している。
このように、反撃能力の配備は抑止力として期待されている一方で、地域住民や一部の政治家からの反対も根強い。
現代の安全保障環境において、この議論はますます重要なものとなっている。
次の動画では、日本が開発中の日本の新兵器5選について、その性能と威力を解説しよう。
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